イタリアで急拡大 反極右デモ「イワシ運動」とは?[2019/12/16 13:28]

 香港をはじめ、世界各国で「デモ」による抗議活動が相次ぐなか、イタリアでは「イワシ」をシンボルにした反極右デモが行われました。この「イワシ運動」が来年に向けてヨーロッパでの注目の活動となりそうです。

 今年、大規模な抗議活動が起きた香港。15日もショッピングモールでデモ隊と警官隊が激しく衝突しました。香港のデモでは市民らはマスクや仮面を着用し、抵抗の象徴としています。フランスでは、1年前から政府に対する不満を訴えるためのデモが形を変えながら継続しています。そのシンボルはおなじみとなった「黄色いベスト」です。
 そんななか、新しくシンボルになりそうなのがイワシです。イタリアのローマで14日に行われたこのデモでは、参加者らが「移民排斥」や「同性愛への嫌悪」などに反対の声を上げました。参加者らの抗議の矛先は前政権の副首相で、このような政策を掲げている極右政党「同盟」のサルビーニ党首です。では、彼らがイワシを選んだ理由とは。イワシはイタリア語で「サルディーネ」。「サルビーニ」氏の名前に似ています。さらに、イワシのように大群でサルビーニ氏に対抗しようという意味が込められているということです。
 この運動のきっかけは先月、イタリアのボローニャ地方で4人が呼び掛けたデモでした。SNSなどで急速に広まり、参加者が1万5000人に膨れ上がりました。勢いが増したイワシ運動はイタリア各地で行われるようになりました。これに対し、サルビーニ氏は自身のSNSにイワシを食べるネコの写真を相次いで投稿。来年1月に予定される地方選挙に向け、イワシ運動には徹底的に対抗する姿勢です。
 サルビーニ氏の政党「同盟」は今年5月に行われた欧州議会選挙でも数多くの議席を獲得し、ヨーロッパの極右団体との交流も深いことから、各国のメディアも相次いで報道しています。今後、イワシはヨーロッパの反極右・反ポピュリズム政党のシンボルとなるのではないかという見方も広がっています。

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