後継者よりも権力維持? プーチン氏が狙う“院政”[2020/01/17 09:32]

 ロシアのメドベージェフ首相が15日に内閣の総辞職を発表しましたが、この背景にあるのは「退任」を見据えたプーチン大統領が影響力を維持するための最初の一手との観測が広がっています。

 メドベージェフ首相:「ロシア憲法117条に基づき、内閣総辞職することが適切だと考える」
 プーチン大統領:「(内閣が)達成した結果には満足しているが、すべてが解決し、完全に機能しているわけではない」
 閣僚を前にした突然の表明。プーチン大統領が施政方針を示した「年次教書演説」の直後、メドベージェフ首相は内閣総辞職を表明しました。
 プーチン大統領:「メドベージェフ首相は丸8年間にわたって政府を率いてきたが、近年のロシアでは最長期間だった。(メドベージェフ首相には)『国家安全保障会議』の副議長に就いてもらおうと思う」
 2000年、大統領に就任したプーチン大統領は「連続で2期まで」とする憲法の規定に沿って一時、大統領の座を降り、この「中継ぎ役」としてメドベージェフ氏が大統領を務めました。プーチン大統領は一時的に首相となりましたが、権力は維持して「タンデム体制」とも称されました。新たに首相に就任したのは財務官僚のミハイル・ミシュースチン氏(53)です。2010年から連邦税務局のトップを務めていますが、全くの無名の人物です。プーチン大統領は現在の任期が終わる2024年で退任することを示唆しています。この人物を「後継者」に据えるとの見方もできますが、プーチン大統領の最終的な狙いは自身が退任した後も権力を維持することだとみられています。
 プーチン大統領:「下院議会が首相候補に『同意』するだけでなく、『任命』もできるようにし、副首相や閣僚も首相の提案に基づき、下院が任命できるように(憲法改正で)変えることを提案する」
 プーチン大統領は、これまで大統領が持っていた首相や閣僚の「任命権」を議会が担うことなどを柱とした憲法改正方針を示しました。これが実現した場合、議会で権力のある地位に就けば実質的に政府も掌握できるため、大統領の座にいなくとも権力を維持できます。今回の電撃的な決定は支持率が低下していたメドベージェフ氏の交代で国民の支持を回復させつつ、退任後も影響力を持つための仕組み作りが本格的に始まる動きといえそうです。

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