スラムの女性救いたい 日本人女性が単身インドへ[2021/01/16 09:00]

 アジア第3位の繁栄の裏で今も切実な「貧困問題」を抱えるインド。インドに単身渡り、貧困に苦しむ女性のために立ち上がった日本人女性。そこに秘められた「想い」とは。

 アジア第3位の経済大国「インド」。しかし、近代的な街を一歩踏み出せば、今もスラム街が広がっています。

 水流早貴さん(28)。貧困にあえぐインドの女性の手助けになればと、2年前に単身この地に渡りました。

 インドの貧困問題に取り組む水流早貴さん:「(スラムの人は)学校出てないとか、特殊なスキルと言えるものがなかったりするので、どこにも雇用されないんですよ。どうしたら解決できるかなということを模索してビジネスで雇用を生むことが解決になるんじゃないかと思い始めた」

 早貴さんが、おととしの7月に立ち上げた会社「サクラ・ホームサービス」。スラムに暮らすインドの人たちを雇い、富裕層向けの「ハウスクリーニング」を行っています。

 早貴さんが目指したのは質の高い徹底したクリーニング。クオリティーが高い分、料金を高めに設定できるので、貧困に悩む従業員により多くの賃金を支払えると考えました。

 インドの貧困問題に取り組む水流早貴さん:「プロとしての付加価値の高いサービスをやろうと決めていたので、(日本の)ハウスクリーニングの会社で勉強させて頂いて」

 こちらは早貴さんと1年以上、一緒に働いているプシュパさん(33)。

 サクラ・ホームサービス、デビ・プシュパさん:「この会社に入る前はお金の余裕がなく、貯金もできなかった。今は子どもに良い教育も受けさせることができているの。早貴と働けることは、とても幸せに感じているわ」

 プシュパさんは早貴さんの会社に来たことで収入が約2倍となり、貯金もできるようになったそうです。学生のころから海外に興味があったという早貴さん。大学卒業後、インドのスラムを訪れた時、その後の人生を決める「出会い」がありました。

 インドの貧困問題に取り組む水流早貴さん:「自分はスラムでこのまま一生終えてもいいけど、子どもにはそういう思いをさせたくないんだというのを涙ながらに語ってくれたお母さんたちがいて。そのお母さんたちと出会った時に、自分の心が決まって、このお母さんたちの力になりたいっていう」

 早貴さんは、この言葉を胸に27歳でインドに渡り、会社を設立。初めはインドの富裕層からの需要が多い「メイドの派遣業」を営み、仕事も順調だったのですが、去年の春…。

 インドの貧困問題に取り組む水流早貴さん:「コロナでロックダウンしてからサービスができなくなってしまって。お客さんからの収入はゼロ」

 世界中を襲った新型コロナウイルス。このままでは自分の夢も潰えてしまう。感染が広がるなか、早貴さんが注目したのは…。

 インドの貧困問題に取り組む水流早貴さん:「コロナを経て、インド人の衛生に対する意識というのはすごく高まってきている。コロナ禍だからこそ、除菌サービスというのを始めたり。サービスをどんどん転換させていきました」

 メイド派遣業から除菌まで行う徹底的なハウスクリーニング業へ。早貴さんはコロナ禍の今だからこそ需要が見込めると、事業を切り替えました。

 現在は月に30件以上の依頼が来るほど経営は安定しているそうです。そんな早貴さん。未来への夢はさらに広がります。

 インドの貧困問題に取り組む水流早貴さん:「スラムの子たちが行くような学校ってどうしても質が低かったり、先生がちゃんと教えてくれないとか。教育の何か支援みたいなことができたらいいなと思っています」

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