「管理職って楽しいのよ、と…」女性リーダーの提言[2021/02/24 17:30]

 森喜朗前会長の「女性蔑視発言」で改めて浮き彫りとなった「男女格差」問題。トップランナーとしてその問題に向き合ってきた女性や有識者を取材しました。

 「会議に女性が多いと時間がかかる」。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長による女性蔑視発言に端を発した騒動。国内のみならず、海外からも大きな批判を浴び、森氏は辞任、五輪担当大臣だった橋本聖子氏が新会長になる形で一旦は決着となりました。

 しかし、改めて浮き彫りとなったのが「男女格差」の根深さです。

 「世界経済フォーラム」がおととし発表した各国の男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数」では、日本は153カ国中121位と過去最低の水準に落ち込んでいます。

 「男女格差後進国」とも指摘されている日本。こうしたなかで、その格差をなくすべく活動する人も…。

 コロンビア大学国際公共政策大学院・本田桂子客員教授:「我々一人ひとりが変わるということを賛同者を募って宣言してはどうか」

 世界銀行グループの「多数国間投資保証機関(MIGA)」長官を務めたキャリアを持つ本田桂子さんです。

 男女格差だけではなく、「LGBT」や「障害者」などあらゆる差別をなくすために「差別のない活力ある日本を作るための行動宣言」を企業トップや有識者とともにまとめたのです。

 かつて「マッキンゼー・アンド・カンパニー」のアジア部門では初めて女性シニア・パートナーにも抜擢され、女性の社会進出を牽引(けんいん)し続けている本田さん。

 しかし、日本では「女性」という理由で味わった苦い経験もあります。

 コロンビア大学国際公共政策大学院・本田桂子客員教授:「大学を卒業したのが1984年。驚いたのは女子でも短大を卒業していると、当時の一般職みたいな形で応募ができる。もうひとつあって、下宿、親元で一緒に生活をしていないと応募を受け付けないというのがあって、私はカルチャーショックだった。現在の企業や組織のトップにいる人たちは、大学の卒業が1980年代かそれ以前が多い。そういう方々が大学を卒業した時にそういうものを見ているとするなら、一つの刷り込みが頭の中にあってもおかしくない」

 日本での「偏見の悪循環」を断ち切る必要があると訴える人もいます。コロンビア大学国際公共政策大学院の伊藤隆敏教授です。

 コロンビア大学国際公共政策大学院・伊藤隆敏教授:「偏見があると登用しない、引き上げない。その地位に引き上げなければ当然、活躍できない。活躍しないとやっぱりできないとなり、任せられないと。この悪循環が始まる。その悪循環をどこかで断ち切らなければならない。一つはアメリカでよくやられてきた『アファーマティブ・アクション』、同じレベル、同じ才能なら今まで登用されていない人、女性を入学させましょう、女性を就職させましょう、女性を高い地位に付けましょう、幹部登用しましょう。同じ能力ならこっちを使う、偏差値が全く同じということではなく、ある幅を持って、このぐらいの幅にいるなら女性を登用しましょうという『アファーマティブ・アクション』がある」

 伊藤教授は、「アファーマティブ・アクション」と言われる社会的に弱い立場にある女性や異なる人種などへの優遇措置が有効だというのです。

 この偏見の各循環を断ち切ることは、将来の男性人口から見ても必要だと本田さんも指摘します。

 コロンビア大学国際公共政策大学院・本田桂子客員教授:「今、女性の就労率は米国よりも日本の方が高くて、25歳から44歳までを見ると75%ぐらいの方が働いている。日本国として女性を労働力として必要としている部分がある。今後先を見ると、人口動態を見ると、1995年と2045年を比較すると、45歳から49歳の男性は2045年を超えるとその年齢層の男性は4割くらい減る。これだけ減ると、管理職、経営判断をしたり、リーダーになったりするのを特定年齢の特定男性にすることは非常にリスクがある」

 国際組織でトップを務め、男女格差や差別をなくすため活動する本田さん。しかし、自身にも“反省”することがあると言います。

 コロンビア大学国際公共政策大学院・本田桂子客員教授:「皆さん管理職になるのにすごく、心理的抵抗がある人が多い。それには(理由が)2つあると思っている。1つは、私が自分自身として管理職をやりながら毎日、『大変だ、大変だ』と言っていなかったか深く反省をし、管理職になると見えてくる景色も違って、自分でできる裁量も増える。これをやった方がいいと強く思うことをできたりもする。だとするなら『管理職って楽しいのよ』と『結構エキサイティング』よということをちゃんと言えていたかということを反省し、一方、彼女たちも皆、『大変だ、大変だ』と思うかもしれないが、管理職でなくても大変な仕事はいっぱいある。であるなら、『自分が裁量を持って自分が責任をもってやれるようになった方がいいんじゃないの』と問いかけをし、なるべく皆で前向きに楽しくやっていくにはどうしたらいいのか、ということを考えようと思う」

(ABEMAヒルズ 2月24日放送)

こちらも読まれています