米中関係は?北朝鮮は?米国務長官インタビュー全編[2021/03/17 23:13]

 来日したアメリカのブリンケン国務長官がANNの単独インタビューに応じました。ノーカットでお届けします。


 Q.テレビ朝日の森川と申します
国務長官としての初の日本訪問はいかがでしたか。

 日本に戻ってくることができてとてもうれしい。今までにも何回か来たことがあるが、今回大使館のチームと再会することができた。
我々が初の外遊先に日本を選んだのには狙いがある。バイデン大統領が日米同盟を重視していることを示したかったからだ。

 Q.いくつか、お聞きします。きのうの2+2では、日米の懸念が共有されました。その主な懸念は中国です。中国の行動を変えるため、中国には何を求めますか。

 最近、中国は国内では抑圧的に、国外では積極的に行動しているため、日米両国が懸念している。例えば、尖閣諸島、南シナ海、香港や台湾などです。我々は地域の平和と安定を求めている。他にも、経済や人権の問題もある。これらは、民主国家にとっても心配な問題だ。
 サリバン大統領補佐官とこれからアンカレッジで中国の外交トップと会談する。これは、我々同盟国の中国に対する懸念を直接伝えるいい機会だ。それは、中国にとっても同じだと思う。直接はっきりとオープンに話をするつもりだ。また、中国に対して、我々の公での発言と私的な発言に違いはないということを申し上げたい。

 Q.米中会談での優先議題は何ですか?

 アメリカの懸念や優先事項をはっきりと直接伝えることで、中国からも同様の姿勢を求める。お互いを理解することが重要。中国の人権や地域での強硬的な行動を、多くの国が心配していることを、中国には理解してほしい。

 Q.中国の王毅外相は、関税の撤廃を求めています。貿易戦争をどう解決していくのですか。

 2つの重要ポイントがある。
 関税や貿易赤字の問題は重要で、現在取り組んでいるところだ。
 しかし、それ以上に重要なのが、構造的な問題だ。例えば、国営企業に対する支援、補助金の問題、技術移転や知的財産の侵害だ。これらは、中国を利することになり、アメリカの労働者やビジネスには不利だ。特に、最先端の技術の分野は、中国の慣行により不公平になっている。中国がこうした懸念に対処することが大事。アメリカだけでなく他国とっても大きな懸念だ。

 Q.北朝鮮政策について、トランプ前政権との違いは?

 現在、北朝鮮政策を見直しているところだ。様々な政府外の専門家や元官僚の意見、また同盟国である日本や韓国の意見も聞いている。彼らの国益も関係しているからだ。見直し作業が終了すれば、同盟国と共有し緊密に連携して、北朝鮮の挑発に効果的に対処できるだろう。そこには、核問題、ミサイル問題、人権侵害、もちろん悲劇的な拉致問題も含まれる。こうした問題に、日本や日本の国民と団結して取り組んでいく。

 Q.軍事オプションは考慮に入れるのか?

 今回の見直しの中では、様々な圧力の可能性を探っていく。また外交の可能性も探っていく。見直しの結論が出たら、日本・韓国と協力していく。

 Q.4月に日米首脳会談が予定されています。日本では、軍事力の強化が懸念されています。アメリカは自衛隊の強化、もしくは米軍基地の負担増を求めるのでしょうか?

 それは日本が主権国家として決めることだと思う。アメリカが決めることではない。
日米同盟は、数十年、何世代にもわたり、平和と地域の安定の礎だ。その一環として、共同で防衛を行っている。アメリカもその点で大きく貢献をしている。また日本も米軍基地を受け入れてくれていてる。駐留経費を一年延期することができ、とてもうれしく思う。その間に、複数年の延長に取り組んでいきたい。残念ながら、安全、民主主義、自由はタダではなく、負担を伴うものだ。公平な方法で、この負担を共有していきたい。

 Q.日本はどのような形で負担するのでしょうか?

 ここで交渉の詳細を述べることは控えたいが、現協定が一年延期され、これから両国で複数年の延長に取り組んでいきたい。

 Q.最後に、もう一度中国に関して、ウイグル問題と香港問題で、新たな制裁を科すつもりはありますか?

 現在、すべての問題を注視しているところだ。また、同盟国や友好国と協力をしていくつもりだ。米中関係は複雑で、両国への影響も大きい。敵対的な面、競争的な面、協力的な面もある。しかしそのいずれでも共通しているのが、「強い立場から対処する」ということだ。それには、まず同盟国や友好国の協力が必要だ。これは、我々にあって 中国にはないものだ。この点でアメリカは有利だ。中国に我々がどう対処しようと、連携が強まるほど効果が上がる。これこそ、私の友人である日本の茂木外相の言うところの「団結の力」だ。それが我々の対中政策の決め手だ。

 Q.ありがとうございました。次は、ぜひスタジオでお会いできることを願っております。

 どういたしました。呼んでいただきありがとう。

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