記者が明かす 空爆予告のビルから緊迫の脱出[2021/05/17 01:08]
パレスチナ自治区ガザでイスラエル軍がAP通信や中東メディアのアルジャジーラなどの支局が入るビルを空爆したことを受けて直前にビルから避難した記者が当時の様子を明かしました。
AP通信のガザ支局員、ファレス・アクラム記者によりますと、15日の午後1時55分、夜の業務に備えて昼寝をしていたところ、突然、ヘルメットと防弾ベストを付けた同僚が「避難しろ」と叫び、目が覚めたということです。
この時すでにイスラエル軍はこのビルのオーナーに対して空爆の予告を行い、居住者らを外に出すよう求めていました。
「あと10分しかない」と言われたアクラム記者はノートパソコンや家族の写真などを持ち、午後2時ごろ、ビルを後にしました。
その直後、外に避難したアクラム記者らの目の前でビルはイスラエル軍のドローンと戦闘機による空爆を受けて倒壊しました。
AP通信は2006年からこのビルを取材拠点としていて、避難当時、スタッフ12人が働いていましたが、全員避難してけが人はいないということです。
イスラエル軍は、このビルに「ハマス」の情報機関が入っていたため攻撃したと主張しています。
ビルのオーナー、ジャワド・マフディ氏:「テナントの他には弁護士やエンジニアの事務所、アルジャジーラやAP通信などのメディア。それ以外に何もない」
アルジャジーラのガザ支局長:「イスラエルがこの建物を攻撃する権利があるのかどうか、疑うべき理由がある」
また、AP通信のプルイット社長は「報道機関が入るビルを標的にしたことに衝撃を受け、恐怖を感じている」としたうえで、「ガザで何が起きているか世界は知りにくくなる」とイスラエルを批判しました。