感染4万人超も気にしない?“コロナと生きる”英国[2021/10/17 22:30]

世界中で試行錯誤が続く“コロナとの共生” 日本に先駆け、3カ月前に規制をほぼ撤廃したイギリスは今どんな状態なのか。現地を取材しました。

▽“規制撤廃”3カ月…ロンドンの今
(ロンドン支局 山上暢記者)
「土曜日のロンドン、この辺り非常に盛り上がっています。次の店を探し求め歩く人であふれかえっていて、サタデーナイトはまだまだ終わらないというような感じになっていますね。」
ほぼすべての行動規制が撤廃されて、3カ月。週末のロンドンは―

この盛り上がりです。ロンドンを含む、イングランド地方では、7月19日から、マスク着用やソーシャルディスタンスの必要がなくなりました。
ナイトクラブの営業も解禁。イベントの人数制限や、在宅勤務の推奨も解除されました。
(ロンドン市民)
「マスクを着けなくていいのでうれしい。普通の生活に戻るべきです。」
「ロンドンはこうでなくちゃ。」「これがロンドンだ。」
「このために働いているし、ここにいるんだ。」

イギリス政府は、ワクチン接種が進む中、いち早く“コロナとの共生”を選択しました。
(イギリス ジョンソン首相)
「コロナを撲滅できないのは明白だ。共存を学ばなければならない。」

規制撤廃から3カ月が経つ中、イギリス経済は順調な回復ぶりを見せています。
(ロンドン支局 山上暢記者)
「この後ろに立ち並ぶのは雑貨や飲食店などのマーケットです。海外からの観光客にも人気で、きょうもすれ違うのも大変なぐらいの人出でにぎわっています。」
(土産物店の店員)「今は日に日に良くなっている。海外の観光客と話せてうれしい。今はとても満足だ。」

今月4日から、水際対策も大幅に緩和。感染状況が特に深刻な国を除き、ワクチン接種済みなら、隔離の必要もなくなりました。
(海外からの観光客)
「パンデミック後、今回が初めての海外旅行です。」
「イギリスは、私の国より(経済活動が)再開しているようだ。最高だよ。みんなに来るように勧めるよ。」
ただ規制撤廃の際には、国内外の科学者から“危険な実験”との声も―。

実際、新規感染者数はいったん減少しましたが、再び増加傾向となり、ここ最近は4万人を超える日が続いています。
死者数はピーク時に比べて減ったものの、今も平均して1日100人以上が亡くなっています。どちらも日本を大きく上回り、決して良い状況とは言えません。感染症の専門家は、今年の冬が正念場だと指摘します。

(ロンドン大学 新興感染症学 マーティン・ヒバード教授)
「冬は屋内で過ごしたり、集まる機会が増えるので、ウイルスの感染拡大のリスクは高くなる。冬の時期はもっと入院患者が増えるだろう。」

さらに、ワクチン接種率の高い国で、規制なく、人々が活発に動けば、新たな“変異ウイルス”を生みかねないと心配します。
(ロンドン大学 新興感染症学 マーティン・ヒバード教授)
「ウイルスは環境に影響される。今回は免疫ができた環境だ。この“免疫環境”では、ワクチン耐性や感染力が強いウイルスが生き残る。感染拡大を容認すれば、新たな変異ウイルスを生むことになる。」

リスクも孕んだ「コロナとの共生」。
それでもイギリス国民の多くは、自由の代償として、この現実を受け入れているようです。
(イギリス国民)
「多くの人がワクチンを接種している。今が日常生活に戻るときです。人々の自由を奪うべきではない。」
「ウイルスは悪で多くの人が死ぬ。でも日常を続けなければ。コロナから解放されよう。」
「ロックダウンで休みを楽しんだが、もう戻りたくはない。コロナとの共存は必要だ。」
「経済と人々の命のちょうどよいバランスを見つけよう。生きることにリスクはつきもの。前に進まなくては。」


▽ロンドン支局と中継 “コロナと共生”を掲げるイギリスの今
イギリス ロンドン支局の山上暢記者と中継をつなげて話を聞いていきます。

Q.どういう意識でイギリス国民は日常生活に戻っている?
(ロンドン支局 山上暢記者)
〇感染者数が高止まりしていることを頭では理解しつつ、この状況に慣れている
〇“コロナとの共生”という意識が浸透してる うまく付き合っていかなければならないと考えている

Q.医療逼迫への不安はない?
(ロンドン支局 山上暢記者)
〇医療崩壊への懸念はそこまでしていない 根底にあるのはワクチンへの安心感


10月17日『サンデーステーション』より

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