2016年 大西飛行士 カプセルで地球帰還の一部始終[2021/12/21 19:00]

(モスクワ支局長・長谷川由宇)
午前10時まえです。
大西さんらを乗せた着陸カプセルのパラシュートがカザフスタンの空に開きました。

白字に赤い同心円の柄のパラシュートの先についているカプセルの形がくっきりと見えてきました。
ゆっくりと地上をめがけて降りてきます。
揺れも少ないようです。

2016年10月30日、国際宇宙ステーションから
ロシアの宇宙船「ソユーズ」に乗り込んだ大西卓哉(おおにし・たくや)さんら3人の宇宙飛行士が、およそ7時間かけて地球へと帰還しました。
七夕に飛び立ってから115日ぶりのことです。

着陸地点に車で急ぎます。カザフスタン中部。
大草原の道なき道を、車列が走ります。

目的地の周辺にはヘリコプターが数機、着陸しているのが見えます。
ヘリコプターに乗っていた人たちが降りてきています。

黒っぽいカプセルが見えました。
着陸しているようです。取材班が車を降ります。

リポートを始めようとしたところ、ブロックされました……

と思ったら、OKだそうです。

(長谷川由宇)
いま、大西さんが地球に帰還しました。
着陸カプセルがヘリコプターや車に囲まれるようにしてパラシュートと、着陸カプセルが見えます。


周囲の人の背丈より少し高さがある、丸みを帯びた形状の着陸カプセルには、グレーの足場がかけられています。

規制線が張られ、カプセルにこれ以上近づくことはできません。

周囲の人たちには笑顔が見えます。

カプセルの上に、人が4人登っています。

カン、カン、と金属を打つような音が聞こえます。


カプセルのてっぺんが開いたようです。

中から物を取り出して、大きな袋に入れています


青い服の男性がカプセルの上でかがみました。
上から中をのぞいています。


青い服を着た男性がカプセルの上から、上半身を中に入れています。
何かを引き上げているようです。
白いものが見えます。宇宙服の男性です。カプセルの上に腰をおろしました。
ロシアのアナトリー・イワニシン飛行士です。笑顔が見えます。

身体の向きを変えるとグレーの足場を滑り降ります。
大地に足をつくかどうかのうちに、4人がかりで運ばれていきます。

カプセルの上ではまた、青い服の人がかがんでいます。
上から声を掛けているようです。


最初にカプセルを出たイワニシン飛行士は低い椅子に座らされ、足元を毛布でくるまれています。

振りむいて手を振るのは、先輩宇宙飛行士の油井亀美也(ゆい・きみや)さんです。
1年前の2015年にやはりソユーズで打ち上げられ、宇宙に141日滞在しました。


カプセルの上で動きがありました。
青い服の人が上半身をカプセルの中に突っ込みます。
油井さんも見守ります。

宇宙飛行士が出てきました。肩を抱かれます。

肩に日の丸が見えます。大西さんです。
表情は……笑顔です。
身体の向きを変えて、カプセルのてっぺんから、地上のスタッフが受け止めました。

男性4人に抱えられて運ばれます。

イワニシン飛行士の隣の椅子に座りました。
たちまち毛布にくるまれます。
医師でしょうか。スタッフが取り囲みます。
大西さん1人に4人がかりです。

腕に装置が巻かれました。

右手の手袋を外しています。
酸素濃度や脈拍などを図っているようです。

手前のスタッフの方には星条旗、アメリカのスタッフのようです。


大西さんは落ち着いた表情に見えます。

その間に3人目の飛行士もカプセルを出てきました。
アメリカのケイト・ルビンス飛行士です。
やはり、笑顔が見えます。


大西さんが地球に戻って最初に口にしたのは、ミネラルウォーターのようです。

隣の椅子では、イワニシン飛行士がリンゴをかじっています。

大西さんは、日本の実験棟「きぼう」でマウスを使った老化現象を解明するための実験や、
ロボットアームを使った作業に携わりました。


何か質問があったら聞いていただいてもいいですよ

Q.大西さん 帰ってきてのご感想は
大西:楽しかったです、結構。帰り道は楽しかったです。

Q.久しぶりの地球はどうですか
大西:空気がおいしいですね。空気が本当に気持ちいいです。

Q.その地球で何が一番したいですか
大西:家族にやっぱ会いたいですね、早く。

Q.日本の人たちへのメッセージを
大西:4カ月長期滞在、本当に充実した時間を過ごすことができました。
応援ありがとうございました。
本当にたくさんの実験とか研究ができたので、その成果を早く日本に帰って、早くみなさんに直接ご報告できるのを楽しみにしています。
本当に応援ありがとうございました。元気に帰ってきました。

Q.一緒に受験したみんなには
大西:ただいまって言いたいですね。伝えたいことが本当にいっぱいあります。


カメラマンの求めに応じて、大西さんが手を振ります。


Q.今一番、食べたいものはありますか
大西:ラーメン食べたいです。


腕時計が右腕から外されました。
代わりに撒かれたのは血圧計でしょうか。

大西さんは、自分が4カ月滞在した場所を確認するかのように、目線を空に向けます。
また、指を計器にはさみます。

宇宙の滞在中、大西さんは、「すっかり体も宇宙環境に適応した」
「ふわふわ浮いていられるのが慣れてくると、とても快適なんです」と話していました。
宇宙に滞在した日本人飛行士は大西さんで11人目になります。

油井飛行士が、携帯電話を持っています。


大西:嬉しいですよ。やっぱりホッとしましたね。
大西:着陸、やっぱりすごかったです


周囲には、日本語に交じって、英語とロシア語が飛び交っています。


Q.大西さん、地球の重力はどうですか
大西:結構、重いですね。このくらいの小さいタイマーがあるんですけど、その小さいタイマーすら重くてびっくりしました。

油井:では今から変わりますのでお話しください。

大西:もしもし。もしもし。


家族の声に、表情が一段と緩みます。
賑やかな中での電話です。

電話で話している間にも、大西さんは椅子ごと担がれて運ばれていきます。


そのまま大きな簡易テントに運びこまれました。

着陸した場所では、パラシュートが畳まれています。

摩擦熱に耐え、3人を守り切り、役目を終えた着陸用のカプセルの周りの人はまばらになりました。

見渡す限り地平線まで草原が続きます。
一番近い町までおよそ200キロ離れているといいます。


テントの入り口が開きました。
大西さんです。
両脇を抱えられていますが、自分で歩いています。


Q.今ご家族とどのような話を
大西:他愛もない話。
心配していたと思うので、安心させたくて、元気に帰ってきたっていうのと、あとは子どもにどうだったというのを聞きました。

Q.何か変わったことは
大西:最初に(電話に)出てきたのがパパだと思っていたら、違ったって言ってましたけどね。

Q.奥様からは
大西:安心したって。

Q.新型ソユーズの乗り心地は
大西:よかったですよ、思ったより帰りも快適で。楽しかったです。


油井飛行士とガッチリと握手を交わすと、大西飛行士は車両に乗り込み、草原を後にしました。

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