感染一日100万人超…それでも経済活動止めない理由は“オミクロン”急拡大のアメリカ[2022/01/04 23:30]

欧米では新型コロナ・オミクロン株により、いまだかつてなかった感染爆発となっています。

フランスでは、感染者数が4日連続で20万人を超え、過去最多を記録。感染対策として週3のテレワークが、義務付けられました。

フランス、カステックス首相:「3週間、在宅勤務を義務化します。これは義務です。可能な企業と社員は、少なくとも週3日、できれば4日間を在宅勤務とします」

一方で、感染者の隔離期間は、ワクチン接種済みの場合、これまで10日間だったのが、7日間に短縮されました。欠勤者が増えることによる経済活動への影響を少しでも減らしたいからです。

アメリカでも自主隔離期間は無症状の場合、10日間から5日に短縮されました。濃厚接触者は10日間、マスクをつけていれば隔離の必要はありません。

ただ、アメリカでは3日、感染者数が、これまでの最高だった約59万人から倍近い108万人と、過去最多となりました。

感染者に占めるオミクロン株の割合は推定で58.6%になります。

アメリカ、ファウチ首席医療顧問:「コロナ感染の津波は、追加接種を受けた人ですらブレイクスルー感染していることを意味します」

特に子どもへの感染が顕著で、一日あたりの入院者数が平均1354件と、記録的な数字となっています。

教師:「未接種の子どもたちと一緒になるし、子どもたちは距離も取らない、マスクもしません。心配することはだいぶ前に諦めました」

ただ、ニューヨーク市では学校閉鎖などには踏み切らず、経済活動の規制も特には考えていないようです。


アメリカ・ニューヨークのタイムズスクエアにいる中丸徹ニューヨーク支局長に話を聞きます。

(Q.108万人という過去最多の感染者数は、アメリカではどう受け止められていますか)

中丸徹ニューヨーク支局長:「このデータは先ほど出てきまして、今、東海岸は午前8時半です。これから朝のニュースを通じて、アメリカ国民に驚きを持って受け止められるんだと思います。一方で、1〜2日が土日だったため、その検査分が出てきているという要素もあります。1〜3日の3日間で平均すると、50万人強ということで、年末のレベルを少し超えてきたなという状況です。いずれにしても、クリスマスから年末年始のシーズンにかけて、アメリカでは多くの人が移動しました。この108万人を含めて、今週1週間の数字がどう推移していくのかが注目になると思います」

(Q.経済的な規制を考えていないのはなぜですか)

中丸徹ニューヨーク支局長:「経済を止められない事情もあります。例えば、ニューヨーク市では失業率が9.4%と、全米の2倍近く高い水準にあります。ニューヨークは世界中から人が集まってくることで成り立つサービス業の街です。自宅からリモートワークで、コロナの被害を大きく受けずにいるホワイトカラーがいる一方で、観光・エンターテインメント・飲食店など、現場に出て働かなければならない労働者が多い街でもあります。1日に市長に就任したばかりのアダムス新市長は『今までコロナ対策につぎ込んだお金を、もう一度つぎ込む余裕はない。我々はコロナウイルスに適応しなければならない』と述べ、経済活動を止めるつもりがないということを強調しています」

(Q.ここまで感染が広がると、不安があるのではないですか)

中丸徹ニューヨーク支局長:「人それぞれの部分があります。感染を恐れて、活動を控えて、自宅にこもっているという人もいます。一方で、感染を気にせず、マスクをしないで街中に出てくる人もいます。ただ、共通して言えるのは『ロックダウンの生活に戻りたい』という声はあまり聞こえてきません。このままアメリカは乗り越えられるのか。カギになるのは、医療のキャパシティーだと思っています。入院率が低いといっても、感染の数自体が増えているので、入院する人の数も増えてきています。さらに、医療従事者のなかにコロナ陽性になる人が出てきていて、自宅隔離などを含め、医療の現場に出られない人も増えています。現在は医療がいっぱいいっぱいという状況ではありませんが、この後の感染の推移、重症化する割合の変化、こうしたことを勘案して、医療のキャパシティーを超えない範囲で乗り越えらえるのかが、分かれ道になるのではないかと思っています」

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