オミクロン株が拡大する国々へ WHOが呼びかけた今やるべきこと[2022/01/12 05:00]

ヨーロッパでは新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大が続いています。WHO(世界保健機関)のヨーロッパ地域事務局は11日、現在の感染ペースでは今後6〜8週間で管轄地域の人口の50%以上がオミクロン株に感染することになるとの見通しを示しました。
感染者の急増はすでに医療体制や経済、社会へ大きな影響を与えています。日本より早くオミクロン株の感染が広がったヨーロッパはどう危機を乗り越えようとしているのでしょうか。ヨーロッパ地域事務局が各国に求めた具体的な対策案には、実際にヨーロッパで起きた問題の「反省」が反映されています。

<オミクロン株の「急増前」の国々へ>
・閉鎖された室内での高性能マスクの着用を義務化。体が弱い人々への高性能マスクの供給。
・ワクチン、ブースター接種の体制構築。医療従事者などのエッセンシャル・ワーカーは、業務を続けられるよう早期にブースター接種を受けられるようにする。
・症状が出たらすぐに隔離することの重要性を国民に知らせる。ウイルスは症状が出た日の前後数日に最も拡散する。
・検査体制を増強し、薬局や職場、地域で無料で検査を受けられるようにする。

 続いてWHOは、すでにオミクロン株が広がる国々へも対策を呼びかけました。日本も5日連続で感染者が6000人を超え、今後オミクロン株のさらなる拡大が懸念されています。各地で検査数の急増により検査場がパンク状態になりつつあるほか、仕事に出られない人が増え、隔離期間の短縮も検討されています。WHOはそれらについての指針も示しました。

<オミクロン株の「急増が始まった」国々へ>
・体が弱い人々へのワクチン、ブースターの優先的接種。
・体が弱い人々は「密」を避け、可能であればテレワークをするようにする。
・検査体制がひっ迫する場合、検査の優先順位をつける。PCR検査を優先するのは、重症化するリスクが高い人、医療従事者などのエッセンシャル・ワーカー、クラスター発生が疑われる介護施設での最初の発症者など。
・病床がひっ迫する場合、不必要な入院を避けるため、トリアージや症例の評価などを強化する。
・隔離期間の短縮は、検査の陰性結果をもって決定すべきであり、必要不可欠なサービスを維持するのに欠かせない場合のみ実施すべき。
・学校は子どもの心の健康などにとって大きなメリットがあり、閉鎖は最後の手段にすべき。教師はワクチンやブースターの優先接種の対象者にする。可能であれば、体の弱い子どもや、体の弱い大人と接する子どもにはワクチンを接種できるようにする。

 ヨーロッパ最大の感染国となったフランスでは約3週間前に、オミクロン株による感染者急増で社会・経済のマヒの恐れが指摘されていました。そして実際にいま学校では教師や子どもの感染が相次ぎ、混乱状態となっています。検査場には毎日大行列ができ、もともと15分足らずで陰性証明を取得できていた抗原検査でも、システムに負荷がかかりすぎているためか、数時間待っても証明を受け取れないという事態が起きています。最前線に立つ医療従事者や、将来を担う子どもへの影響を最小限に抑えるため、各国には先手先手の対応が求められています。

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