ロシアは一方的な独立承認…今後どう動く? ウクライナ国内の受け止めは?[2022/02/22 18:20]

 ウクライナを巡って緊迫の局面を迎えるなか、今後ロシアはどう動くのでしょうか。モスクワから報告です。

 (前田洋平記者報告)
 気になるロシア側の反応ですが、ロシア国民の何人かに聞いたところ「血が流れなかった、武力衝突に至らなかった」ということで、意外なことに肯定的な評価を下しています。

 ただ、21日のプーチン大統領の演説を聞く限り、東部ウクライナの実効的な支配ではとどまらず、恐らくウクライナ全土まで侵略するのではという不気味さすら感じさせる内容でした。

 こういった不気味な雰囲気はロシアの人々も感じ取っています。「今回は今のところ戦争は起きなくて良かったけれども、今後どうなるのか分からない」と不安の声も出していました。

 また、さらに経済制裁も覚悟しなければなりません。

 一部の独立系メディアでは「今後さらに進行が進むようなことがあれば、さらに強い経済制裁が来る。そのしわ寄せは私たち国民に来る」といった論調を展開しています。

 ただ、厳しい経済制裁があった2014年のクリミア侵攻も、その制裁にもかかわらず、侵攻直後にはプーチン大統領の支持率は跳ね上がりました。

 今回、プーチン大統領の決断を一定程度、肯定的に受け止められているという側面もあります。今後のプーチン大統領の出方は、かなり厳しく見ていかなければならないと思っています。

 (Q.今回の判断を国民が肯定的に受け止めているという背景は?)
 今回のエスカレーションの原因を作ったのは欧米側であるというような主張が、この1カ月間近く続いています。

 そして、実際に欧米側もロシアが戦争を仕掛けようとしているといった時に証拠を提示することはさすがにできないので、ロシア人たちも証拠も提示しないで戦争したいのはアメリカだと考えています。

 そういったこともあり、今回の原因はアメリカ側にあるという前提から始まっているために肯定的に今回のプーチン大統領の決断を受け止めているのかもしれません。

 一方で、ウクライナの国民はロシア側の独立承認をどう感じているのでしょうか。

 (山上暢記者報告)
 緊急世論調査を地元メディアが行ったところ、9割以上の国民が独立国家承認に反対をしています。

 西部リビウの街でも22日朝、街の人に話を聞いてみると「今回の独立国家承認がさらなる事態のエスカレートを招くかもしれない」と考える市民の人もいました。

 そして、国民の猛反発を招いているのが21日のプーチン大統領の演説での「歴史認識」に関わる部分です。

 プーチン大統領は「今のウクライナは共産主義のロシアが作り上げた」と話していましたが、それは「事実と異なる」とウクライナの地元メディアは21日夜から22日朝にかけて主張を続けています。

 例えばウクライナの人もロシアに家族がいるとか、歴史や文化のつながりが非常に深いことから市民レベルの感情を好意的にみる人も多かったのですが、そこに亀裂が走る可能性もあります。

 ウクライナの国防相が22日朝にツイッターで「世界は黙っていない」と投稿するなど、緊張の高まりを感じる一方、市民の間では「プーチン大統領の行動は予測ができないので、ただ備えをしておくだけだ」と話す人もいるなど冷静に受け止めている印象です。

こちらも読まれています