東部2州の総攻撃へ…準備を進めるロシアが“兵士募集”その背景は 専門家に聞く[2022/04/18 23:30]

日本時間18日午後、ウクライナ西部のリビウでミサイル攻撃があり、7人の死亡が確認されました。

◆国際安全保障に詳しい防衛省防衛研究所の高橋杉雄さんに聞きます。

(Q.ロシア軍がリビウへの空爆した狙いは何だと考えますか)

高橋杉雄さん:「これからの東部での激戦に合わせて、NATO(北大西洋条約機構)からの支援物資が入ってくるのを食い止めたい。あるいは、NATOをけん制するといった意味での攻撃だと思います」

(Q.リビウに対する攻撃は今後も考えられますか)

高橋杉雄さん:「これまでもリビウやその周辺に対する攻撃は、例えばゼレンスキー大統領がアメリカ議会で演説した直後や、NATO首脳会談の直後など、メッセージ性の強いタイミングで行われてきました。NATOに対する強い警告を送るという意味では、リビウにはとりわけジャーナリストが大勢いるので、ニュースが世界中に流れます。そういった警告を狙った攻撃はこれからも続くと思います」

東部では、激しい地上戦が続いています。南東部の都市マリウポリでは、ほとんどの地域をロシア軍が制圧している状況ですが、激しい攻防戦が続いている場所があります。ウクライナ軍が拠点としているアゾフスタリ製鉄所は、地下6階まであり、核攻撃などを想定して、ソ連時代に建設された巨大施設です。

ここに立てこもるウクライナ軍は、ロシア軍から17日午後7時までに投降を求められましたが、拒否しました。ロシア側の情報によりますと、ウクライナの兵士2500人が中に残っているということです。

(Q.ロシア軍が製鉄所を狙う理由は何ですか)

高橋杉雄さん:「恐らく理由は2つあります。1つは製鉄所そのもの。ロシアの支配下に置いた時に、製鉄所の機能が使いたいという思惑があるように思います。もう1つは、今、マリウポリを攻めている部隊をできるだけ早く、ドネツク州の主戦場に持って行きたい。裏を返せば、ウクライナ軍は、マリウポリにいるロシア軍を一日でも長く引き付けて、決戦に間に合わないようにしたい。そういう戦いが今行われていると感じます」

(Q.製鉄所に残って戦うウクライナ兵はどうなりますか)

高橋杉雄さん:「恐らく、彼らは自分たちが置かれている立場、単にマリウポリ攻防戦だけではなく、戦争全体を考えた時の自分たちの役割を理解しているのではないかと思います。ロシア軍を一日でも長く引き付けるため、ロシア軍からの降伏勧告を拒否したのではないでしょうか。自分たちは捨て石かもしれないが、犬死ではないというような覚悟で、少しでも時間を稼ぐ戦いをするのではないかと思います」

東部2州への増強を急ぐためか、ロシア国内で、新たな動きも出始めています。ロシア国内にある地下鉄の車内には「私のすべきこと」と書かれた18歳以上の国民に短期契約で志願兵を募集する広告があります。これを取り上げた、イギリスBBCによりますと、月収は約4万8000円〜8万円、迫撃砲兵などの軍務につきますが、経験は問わないという内容だということです。

(Q.この兵士募集の広告をどうみますか)

高橋杉雄さん:「前線の兵士不足に苦しんでいることが明らかに言えると思います。恐らく、募集の状況も芳しくありません。ウクライナ側から流れていた情報ですが、人口100万人くらいのカリーニングラード州で募集をしたところ、応募者がわずか17人だったということです。

一般兵士の月給がドル換算で500ドルと言われているので、募集の月給はおおむね同じ数字です。さらに興味深いのは、迫撃砲などの軍務ということです。迫撃砲は最前線の歩兵に随伴する射程の短い砲です。経験不問と言いながら、明らかに最前線に送られるという非常に厳しい条件で募集していることが見て取れます」


(Q.東部2州の集中攻撃に向けて、ロシア軍が準備を進めるなか、ウクライナ軍はどう対抗できるでしょうか)

高橋杉雄さん:「ウクライナ軍もありったけの戦力を集めてロシア軍を迎え撃つという形になると思います。ただ、ウクライナ自体の余力はそんなにありません。その力を埋めていくのが、NATOの支援する兵器です。NATO、ウクライナとしては、1両でも多くの戦車を1日でも早く供与し、前線に送りたい。その時間が勝敗に直結すると思います。リビウへの攻撃は、その補給路を狙うためのものだと思います。

ここ2〜3週間はロシア軍の再配置に伴って小康状態でしたが、戦闘が始まれば、ロシア側はすべての拠点を攻撃する必要があります。ウクライナ全土で激しい攻撃が行われると思います」

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