ロシア占領下のへルソン市役所に電話取材「ちょっと待って」に待つこと1時間半…[2022/05/01 22:30]

5月9日の戦勝記念日まであと1週間余りと迫る中、プーチン大統領が9日に、初めて「戦争」という言葉を使うかもしれないと、イギリスの国防相が指摘しました

▽戦勝記念日にプーチン氏「戦争宣言」か
(イギリス ウォレス国防相 ラジオ局LBCから)「プーチン大統領は“特別軍事作戦”という言い方をやめ、ナチスに対する“戦争”だと言い換えるかもしれない」
戦闘が長引く中、戦勝記念日に “戦争”と宣言し、さらなる兵力を投入しようということなのでしょうか…

▽市役所も占拠“ロシア化”進む南部の街
「今、何かが燃えています。見てください。」
黒煙が上がるのは、ロシアによる新たな“人民共和国”の設立が画策されているというウクライナ南部の街ヘルソン。
「Zの車列が走っています。軍隊がいて、車列が向かってきます」
ロシア軍に制圧されて2カ月。街の至る所にロシア国旗がはためきます。さらに…
「ある人は喜び、ある人は逆に悲しみに包まれるでしょう。」
これは、第二次世界大戦で、旧ソ連軍が、ベルリンにあるドイツの国会議事堂に掲げたとされる“勝利の旗”です。ナチスドイツへの勝利を象徴する旗で、今月9日の戦勝記念日に向けた準備とみられます。“ロシア化”を推し進めようとしているのでしょうか…ヘルソン州で旧ソ連の支配の象徴だった「レーニン像」が再び設置されました。
ただ、ロシア側が準備を進めているとされたヘルソン州独立の是非を問う“住民投票”については…
(へルソン市在住の男性)「住民投票は近いうちには行われないと思う。何か計画されている様子も何一つ見られない。」
ロシアの独立系メディアは、ロシア軍が苦戦しているため、“住民投票”の計画が遅れていると伝えています。

▽新市長も勝手に任命 南部で進む“ロシア化”
一方でロシア軍は、強硬策に打って出ています。ヘルソン市役所を占拠し、4月26日、新たな市長を一方的に任命したのです。これに対し…
「ヘルソンはウクライナだ ヘルソンはウクライナだ」
抗議のために集まった市民。そこにロシア軍は、催涙ガスや閃光弾を撃ち込み、市民4人が負傷したといいます。

ロシア軍に占拠されたというヘルソン市役所は今、どうなっているのか…電話してみると…
(男性)「もしもし、こんにちは」
(スタッフ)「もしもし、市役所の方ですか?」
(男性)「はい」
(スタッフ)「ヘルソン市の行政ですか?」
(男性)「はい、そうです。」
電話に出たのは、ロシア語を話す若い声の男性でした。
通訳「日本のテレビ朝日ですが、ヘルソン市の現状についてお伺いしたいのですが…」
(男性)「今、担当者につなぎます。少しお待ちください。」
しかし…
10分経過
(男性)「あともう少しです。」
通訳「失礼ですが、あなたは誰ですか?」
30分経過
(男性)「すぐつなぎます。あなたが待っていることは伝えています。」
通訳「すみません、お願いします。担当はどなたですか?」
45分経過
(男性)「ちょっと待ってください。」
1時間経過
(男性)「あと1秒。」
この後、突然、電話は切られました。
時間をあけて、再び電話をしてみると…
通訳「こんにちは」
(男性)「はい、こんにちは。」
通訳「1時間前に電話した、テレビ朝日ですけども…」
(男性)「はい、先ほど電話されましたね。 担当者とつなぎますので、ちょっと待ってください、切らないでください。」
通訳「先ほど、1時間待ちましたが、電話が切れましたよ。」
(男性)「担当者に急いでもらいます」
待つこと1時間半、結局、担当者につながることはありませんでした。

▽「戦勝記念日」迫る…通貨も“ロシア化”
“ロシア化”の動きは“通貨”にまで…
ロシアの国営テレビは、5月1日から、ヘルソン州で、ロシアの通貨ルーブルの使用が始まると報じました。4カ月間はウクライナの通貨も使えますが、その後は、ルーブルに完全に移行すると言います。ヘルソン市内に住む女性は…
(ヘルソン市在住の女性)「ロシア軍は武器を持っていて、命を守るためには従うしかないと思います。ルーブルは私たちには全く必要ないです」
ヘルソン市から脱出しようにもできないといいます。
(ヘルソン市在住の女性)「ロシア軍は街を離れたい人々を外に出さないようにしている。一部の道路は地雷でふさがれています。ロシアの文化と価値観の押し付けはいらない。怒りしかないです。」


5月1日『サンデーステーション』より

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