警戒高まる北のミサイルと核実験…その背景に“コロナ”“プーチン”記者解説[2022/05/20 23:30]

アメリカのバイデン大統領が、20日午後、韓国に到着しました。日本訪問も含めたアジア歴訪。北朝鮮に目を向けると、ICBM発射の兆候が出ていたり、核実験の可能性も指摘されています。

◆ソウル支局の井上敦支局長の報告です。
バイデン大統領は初日の日程を終え、午後9時過ぎ、ホテルに到着しました。いよいよ始まった日韓訪問で警戒感高まるなか、先週、北朝鮮が公表を始めた「新型コロナの感染拡大」が今後を左右する新たな要素になっています。

(Q.どのように、新型コロナが関係しているのでしょうか)
専門家は、新型コロナが拡大し始めた今だからこそ、金正恩総書記が強いリーダー像を内外に示すために、大きな決断を行う可能性があると指摘しています。一方、韓国政府は、先週まで、ミサイル発射に比べて核実験の可能性は低いとしていましたが、19日になって、情報機関が「どちらも準備完了状態。差し迫った脅威だ」と言い直しました。別の政府関係者もコロナの状況が、核実験の実施判断に影響を与えるかについて「北朝鮮はエリート層と庶民の状況がリンクしない社会。あくまでリーダーの決断次第だ」と話しています。

(Q.ミサイルの発射はこれまでもありましたが、コロナ対策に北朝鮮は追われるなか、あえてバイデン大統領の日韓訪問に合わせて、核実験を行おうとしているのでしょうか)
これは、バイデン大統領の日程に合わせたというよりは、党大会で示した北朝鮮の兵器開発計画のスケジュールに沿ったものといえます。北朝鮮はSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルや、多弾頭化を目的にしているといわれる大型ICBM『火星17』の開発が終了したと言っています。これらを兵器として実戦配備には、小型化した新型核爆弾の実験をしなければいけません。金総書記は、核の使用について、恐怖をちらつかせているプーチン大統領の様子を見て、核の脅威が高まっている今こそが一番良いタイミングだと考えていると思います。今回、核実験の実施はなかったとしても、必ず、近く実施するものと思われます。

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