「急性で重症化しやすい危険性がある」豪インフル急増“ダブル流行”懸念 日本では?[2022/06/09 23:30]

これから本格的な冬を迎えるオーストラリア。病院や公共交通機関以外でのマスク着用の義務がなくなり、以前の生活に戻りつつありますが、今、大きな“試練”を迎えています。

新型コロナウイルスの流行以降、感染者数が激減したインフルエンザですが、今年は4月末から一気に上昇。例年に比べ約2カ月ほど早く、流行しています。新型コロナの感染者もいまだ3万人を超える日もあるなか、コロナのインフルエンザの同時流行が起きつつあるのです。

日本人向けのクリニックでは、高熱を訴える問い合わせが急増しています。
さくらファミリークリニック・吉田まゆみ医師:「インフルエンザもコロナも風邪の一種なので、熱、鼻水、咳が出る症状は、とても似ていると思う」

診断に使用しているのは、コロナやインフルエンザなど、一度に8種類のウイルス感染を調べることができるPCR検査です。
さくらファミリークリニック・吉田まゆみ医師:「見極めて『風邪なので大丈夫』と言ってあげることができるので、ウイルスの種類がわかるのはすごく便利」

クイーンズランド州の感染者は、コロナ前に比べ、4倍以上です。
クイーンズランド州副首相兼保健相のスティーブン・マイルズ氏:「国民の免疫力がコロナ前に比べて低下している。そのため、インフルエンザの流行期のピークが早まっている。急性で重症化しやすい危険性がある」

医療機関の影響などを減らすため、今月からインフルエンザのワクチン接種も無料で始まりました。オーストラリアで治療にあたる医師は、日本に対し、早めの準備を促しています。
さくらファミリークリニック・吉田まゆみ医師:「今年、流行っているインフルエンザAは、日本でも半年後に流行るのは簡単に予測できる。いろいろ人の動きも増えてくるし、インフルエンザは防ぐことができる病気。できるだけ多くの人に冬が来る前のワクチン接種を考えていただければと」

◆なぜ、オーストラリアで、こんなに早くインフルが流行しているのでしょうか。

感染制御学が専門の大阪大学・忽那賢志教授は「コロナ以降、インフルエンザの感染が落ち着いていたことで、インフルエンザの免疫がある人が減少していた。さらに、人の移動が活発になってきたことが考えられる」と話します。

◆日本でも同じように流行が早まる可能性があるのでしょうか。

忽那教授は「日本でも早めに流行する可能性はある。インフルエンザは南半球で流行した後に、北半球で同じような状況になることが多い。日本もインフルエンザに免疫のある人が減少していて、人の動きが活発になっている。早めに備える必要がある」といいます。

その備えについて、1回のPCR検査でコロナとインフルエンザを同時に調べることができる機械について、忽那教授に聞いたところ、日本にも大きな病院などにはありますが、高価なため、普及させるのは現実的ではないそうです。そのうえで、これからできることとして、「コロナとの同時流行に備えて、検査体制や診療体制を整える必要がある。第6波では、抗原検査キットの不足などがあったが、十分な準備をしておくことが必要」ということです。

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