パンデミックを“予言”ビル・ゲイツに聞く 陰謀論、次のパンデミック、そして未来[2022/07/15 23:30]

マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツ氏は、新型コロナが発生する前、2015年から、世界的なパンデミックの危険性を訴え続けていました。

マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツ氏:「もし1000万人以上の人々が次の数十年で亡くなるような災害があるとすれば、それは戦争ではなく、ウイルスです」

自著にも書かれた“パンデミックなき未来”はどうすれば作れるのか。話を聞きました。

(Q.今この世界をどう見ていますか?)

ビル・ゲイツ氏「残念ながら、パンデミック発生の予測は現実のものとなりました。私たちの備えが不十分だったことも残念です。政府は、火災や地震などの対策についてはよくやっています。また、開戦の意欲を削ぐべく、自国の防衛に多額の資源を投じています。このような対策の一覧に、パンデミックも加えるべきです。なぜなら、パンデミックは再び発生するからです」

歴史を振り返れば、幾度も猛威を奮ってきた感染症。だからこそ、ビル・ゲイツ氏は世界的なパンデミックの危険性を訴えてきました。しかし、人々には全く見向きもされなかったといいます。

ビル・ゲイツ氏:「パンデミックを防ぐには、火災をイメージするといいでしょう。一都市ではなく、全世界に広がる火災です。ある国で火災が発生したら、諸外国に燃え広がる前に、その場で消火することが全世界の利益となります。世界および国内で、どのような対策チームやツールが必要となるか議論を始め、今回と同じ状況が繰り返されないようにするべきです」

今こそ、パンデミックの予防に特化した3000人の専門家を集め、今までにない新たな国際組織の創設を提案しています。

ビル・ゲイツ著『パンデミックなき未来へ 僕たちにできること』:「運営コストは、年間10億ドルほど必要だろう。COVID(コロナ)がそうだったように、世界に何兆ドルもの損害を与える悲劇への保険になると考えると、年間10億ドルはお買い得だろう」

マイクロソフトの経営から身をひき、いまや世界最大規模の慈善団体を率いるビル・ゲイツ氏。ところが、彼が多額な寄付を行い、ワクチンの普及に勤しむほど、自信のかつての発言も注目され「ビル・ゲイツはワクチンの中にマイクロチップを入れている」「人々の位置情報を監視しようとしている」などと陰謀論が起こりました。

(Q.コロナ禍でビル・ゲイツ氏にまつわる陰謀論が出ました。どう受け止めていますか?)

ビル・ゲイツ氏:「とんでもないですよね。笑ってしまいます。そもそも、私は人々の追跡に興味がありません。我々がワクチン接種を訴えるのは、皆さんに自分の身を守ってほしいからです」

(Q.地道な行動が陰謀論で惑わされることは、悲しいことではなかったですか?)

ビル・ゲイツ氏:「私は非常に恵まれた人間なので、たとえ不都合なことがあっても、自分の置かれた状況に対する文句はありません。マイクロソフト社の成功だけでも十分に幸運なのです」

“世界1のお金持ち”であり続けたビル・ゲイツ氏は「自分は運に恵まれた」「この運を社会に還元したい」と考えるようになったといいます。

ビル・ゲイツ氏:「マイクロソフト社の経営により築いた莫大な財産を、世に還元する方法を検討するなかで、世界に最も大きな影響を及ぼし得るものは何かと考えました。そして、わずかなお金があれば、マラリアやポリオといった感染症から人々の命を救えると気付いたのです。たしかに、私はお金の使い道を選ぶことができます。何軒も家を購入するとかね。自分が持っていても必要としないお金が、他の人々の生活に役立つと思うと気分がいい。私は世界で何よりも楽しい仕事をしているだけです」

人類は今、起きるはずがないと思っていた“パンデミック”だけではなく、“戦争の脅威”という新たな難局に直面しています。

ビル・ゲイツ氏:「全般的に、世界はより良い方向に進んでいますが、少し悲劇的な後退をしました。人間の本能とは、互いに助け合うことを促し、私たちを正しい方向へ押しやるものです。私たちが、過去の過ちに学ぶとともに、危険について理解を深められるといいですね。これまで人類は、自らの置かれた状況を改善してきました。今後も改善し続けると思います」

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