エリザベス女王に最後の別れを告げる「一般弔問」が始まりました。現地メディアによりますと、期間中におよそ75万人が訪れる見通しです。
ウエストミンスターホール中央で台の上に安置されたエリザベス女王の棺(ひつぎ)は、王室旗で覆われ、その上には2868個のダイヤモンドなどで飾られた王冠。さらに、四方を衛兵が守り続けています。
現地時間14日の午後5時、待ちわびた一般市民による弔問が始まりました。
ホール内では棺の左右に分かれ、ゆっくりとした足取りで階段を降りていきます。
イギリス国旗をあしらったものを身に着けている人、民族衣装のような服やTシャツ姿の人など様々。
棺の前で立ち止まって一礼する市民が多くみられ、なかには、手を合わせて弔ったり、膝を曲げる仕草をしたり、何やら言葉を掛けたり。そして、投げキッスでしょうか。弔問のやり方も色々あるようです。
53時間並んだ人:「自分の感情を抑えなくてはいけないと思いましたが、とても感動的でした。雰囲気から女王が本当に亡くなったのだと実感しました。あの時間は一生忘れないでしょう」
弔問に訪れた人:「あの美しいホールで見ると、とても力強かったです。女王とのつながりを感じました。とてもシンプルに『ありがとう』と伝え頭を下げてきました」「感謝を伝えるため、この機会にきのう寝ずに電車に乗って夜中に移動してロンドンに来ました」
追悼は、14日夜から24時間態勢で受け入れられ、国葬当日の現地時間19日午前6時半まで続けられる見通しです。
CNNキャスター:「我々が今、目撃していることについてお話ししましょう。何千人もの市民が女王に対して敬意を表しています」
現在、エリザベス女王の遺体が置かれているウエストミンスター宮殿の周辺地図。
手前は、国葬が執り行われるウエストミンスター寺院、そしてイギリスの国会議事堂として知られる宮殿内の大広間が、弔問の人が絶えないウエストミンスターホールです。
上空から撮影された映像によりますと、ウエストミンスター宮殿から伸びた市民の列は、テムズ川にかかる「ランベス橋」を通り、最大で10キロ以上にも伸びると言われています。
橋の上には夜通しで並ぶ人々。橋を超えた岸でも延々続き、女王の棺にたどり着くまでに30時間以上かかる見通しです。
夜を徹して行われる弔問に対応するため、沿道には1000人以上のボランティアらが稼働し、500を超える仮設トイレが設置されたと現地メディアは報じています。
14日は、棺がウエストミンスター宮殿に運ばれる直前、沿道に詰めかけた人が体調不良を訴え救護を受ける姿もみられました。
弔問に来た日本人:「日本にも皇室がありますし、日本と英国のロイヤルファミリーがすごく親しいので、親近感を覚えます」
砲車に載せられたエリザベス女王の棺には、チャールズ新国王やウィリアム新皇太子、ヘンリー王子らが歩いて付き添いました。
王室を離脱したため、軍服の着用許可が下りなかったヘンリー王子はモーニング姿。
そして、すでに公務を引退した女王の次男アンドリュー王子も軍服を着ていませんでした。
軍で肩書を持つロイヤルファミリーは通常、国葬をはじめとする儀式に軍服で出席するのが習わしとなっていますが、その線引きには「王室と軍」の深い関わりがあるとイギリス王室に詳しい専門家は指摘します。
東洋英和女学院・黒岩徹名誉教授:「国を守るのが彼らにとって、英国民にとって一番大事な事。その象徴として軍がある。軍服を着ることは『国を守る』という意思を示す機会でもあるし、それを象徴的に示すことです」
行列が絶えないウエストミンスター宮殿。18日にはイギリス全土で、1分間の黙祷(もくとう)が捧げられ、国葬が行われる19日は国民の休日となります。
現地メディアによりますと、国葬当日までに国内外からおよそ75万人が一般弔問に訪れるとの見通しです。
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