「金払ったから30時間で出られた」国外脱出者が隣国へ 4州“併合”も ロシア国内混乱[2022/09/28 23:30]

ロシアに占領されているウクライナの4つの州で、ロシア編入を問う“住民投票”が行われました。“結果”とされるものは、圧倒的に賛成多数でした。最も少ないヘルソン州でも87.1%です。

「投票」といっても、通常イメージされるものとは違います。家を一軒一軒回って、投票させていました。戸別訪問には、銃で武装した兵士の姿もありました。
エネルホダル市の住民:「(Q.自由な投票は)できない。大多数が『ロシア編入』に投票したという結果が発表されるに違いない」

一方、モスクワの赤の広場では、巨大なステージの設置が進んでいます。イギリスの国防省は、プーチン大統領が30日に演説し、併合を宣言する可能性があるとみています。

プーチン大統領が決めた予備役の動員。動員された市民の行く末は、過酷なものとなりそうです。イギリスの国防省は「多くは最低限の準備をしたのみで前線に駆り出される」と分析しています。
予備役:「きのう招集令状が届きました。うれしくはないけど、仕方がない」
予備役の妻:「怖い。無事に帰ってきてほしい」

もう国外に逃れるしかないと心に決めた人たちが、隣国へと殺到しています。

ジョージアに続く国境地帯。山間の道路は車両で埋め尽くされていました。その長さは、20キロに及んでいます。現場では警官によるわいろの要求が横行しているようです。
男性:「私たちは1200ドル払いました。ロシア国境から3キロ先に連れて行ってもらうために。もし真面目に列に並べば、ロシアを離れるのに72時間はかかる。私たちはお金を払ったので30時間くらいで出られた」

大義なき侵略戦争に駆り出されるのを避けるために誰もが必死です。
男性:「26歳です。棺で帰国したくない。帝国を築きたい1人の人間の戦争で、自分の手を血で汚したくない」
男性:「ダゲスタン共和国から来た。若者の80%は兵役の経験がないのに、車から連れ去られ、戦地へ送られている。私は必死で逃げました」
男性:「母国を守るなら恐れはしない。兄弟を殺す馬鹿げた戦争は無意味だ」

大都市・サンクトペテルブルクから約200キロのフィンランド国境。長い車列ができています。EUに入境したロシア人は、過去1週間で約6万6000人に上ります。

ロシアから来る人は、英語が話せるようなハイレベルの教育を受けた人ばかり。すぐにほかの国へと移動していくそうです。チェコへ向かう男性は、こう話します。
国外脱出した男性:「(招集令状が)届く前に、急いで離れることを決めた。友人の多くはロシア軍からの令状が届いていた。みんな怖がっていて、きのうは、友だちが令状の写真を送ってきた。(Q.いまの心境は)なんというか、この先、何が起きるかわからないので、怖くて不安」

国外脱出できる人は限られています。徴兵された男性の妻に話を聞きました。日曜日に招集令状を受け取り、翌朝、訓練のため、チェチェン共和国へ行った夫。今週中にもドネツク州の前線へ派遣されるそうです。
徴兵された男性の妻:「夫は軍の経験もなく、銃を持ったこともない。夫は落ち込んで、顔色も悪く、行けるような状態ではなかった。夫のことがとても心配で、つらい。どこに送られるのかもわかりません。どうなるのでしょう」

こちらも読まれています