“日本でも起こり得る”米国務副長官に聞く「ロシアと北朝鮮」単独インタビュー[2022/10/26 23:30]

ロシアは「ウクライナが放射性物質をまき散らす、いわゆる“汚い爆弾”を使用する可能性がある」と根拠のない主張を繰り返しています。

こうしたロシアの振る舞いに、どう立ち向かうのか。

アメリカの外交を司る、国務省のナンバー2、ウェンディ・シャーマン副長官にインタビューしました。

シャーマン国務副長官は、クリントン大統領のもとで北朝鮮政策の調整官を務め、オルブライト国務長官とともに北朝鮮を訪問しています。

長年にわたり、アメリカの外交で中心的な役割を果たしてきました。

「ウクライナが使う」とロシアが主張する“汚い爆弾”について聞きました。

(Q.疑わしいですが、ロシアの戦略をどう分析していますか?)

シャーマン国務副長官:「ロシアがこれを口実に行動するのか、または核兵器を使用するか分かりませんが、ロシアの主張は虚偽で、危険で無責任だと考えています」

ウクライナへの今後の支援について聞くと、シャーマン氏は「ウクライナへの攻撃を他人事だと捉えないでほしい」と指摘しました。

シャーマン国務副長官:「あらゆる方法で、ウクライナ国民を支援することが重要です。岸田総理のリーダーシップを高く評価しています。総理が意見を表明したおかげで、欧州だけの安全保障問題ではないと、世界が理解しました。『一国が罰を受けることなく、主権国家を侵略できるなら、世界中で同じことが起きる』と。北東アジアやインド太平洋も例外ではありません」

その北東アジア・インド太平洋地域に大きな影響を与えているのは、北朝鮮情勢です。

オバマ政権が掲げた北朝鮮政策『戦略的忍耐』。北朝鮮の核やミサイル開発を止めることはできませんでした。

オバマ政権の方針を受け継ぐバイデン政権ですが、対話は進まず、ミサイル発射が繰り返されています。

(Q.アメリカが中国やロシアに集中している一方で、対北朝鮮への取り組みが欠けているようですが、今後の対北朝鮮の対応は?)

シャーマン国務副長官:「私たちは、全力で北朝鮮を思いとどまらせて、外交の扉を開けておくことが必要だと思います。また、北朝鮮が行動に踏み切れば、私たちは非難声明だけでなく、制裁などで対応していくと世界に示さねばなりません。ロシアや中国に対して、固い決意で毅然と行動することで、北朝鮮にも伝わるはずです。『我々の決意は固く、国際秩序に背けば、ただでは済まない』と」

アメリカが「今後も毅然と対応する」としている中国では、習近平総書記が異例の3期目を迎えました。

(Q.中国にどのように接していきますか?)

シャーマン国務副長官:「習近平氏が中国を掌握したのは明らかでした。我々は習近平氏とは異なり、同盟国と足並みをそろえるべきだと信じています。中国とは競争になりますが、国際秩序に従うべきです」

習近平氏の一強体制が確立した中国と、どのように向き合っていくのでしょうか。

(Q.習近平政権とアメリカの対話は、ますます難しくなってくるでしょうが、中国に対してどう戦略を立てているでしょうか?)

シャーマン国務副長官:「中国との緊密な連絡は重要だと考えています。アメリカは他国と協力し、時には競う立場にもなるが、衛生・気候問題などでは協力もしていけます。中国は重要な大国であり、国際社会での責任を
果たしてほしいと思います」

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