“ゼロコロナ撤廃”変わる「春節」と日中貿易 チャイナリスク回避で工場新設の企業も[2023/01/22 22:30]

中国はきょう22日、ゼロコロナ撤廃後、初の春節を迎えました。
一方、その中国からの観光客が戻らない日本では新たなビジネスチャンスが。
こちらのオンライン販売、中国から2万人が参加したといいます。

▽“ゼロコロナ撤廃”初の「春節」 花火や爆竹も
「新年、おめでとうございます!」
中国は、“ゼロコロナ政策”の終了後、初めての「春節」を迎えました。家族や親戚が一堂に会する、中国人にとって最も大事な祝日です。
「ありがとう、おじいちゃん」
“春節”らしい光景も戻ってきました。
(高橋大作記者)「午前0時です。けたたましい爆竹の音、花火の音がこの村中を包んでいます。」
(帰省した男性)「とてもうれしいです。春節の感じが蘇りました。」
4年ぶりの賑やかな春節に、子どもたちは…おっかなびっくり。
「大丈夫、大丈夫だよ。」
地方では花火や爆竹で、盛大に春節を祝う様子が見られた一方、北京では…
(冨坂範明 中国総局長)「こちら若者に人気の繁華街なんですが、今、年を越したんですけど、ほとんど人の姿はありません。」
北京市内では環境対策を理由に花火や爆竹も禁止です。
「花火ですね。北京市内では禁止されている花火がビルの側面に描かれています。」
静かな年越しとなった北京。繁華街では至る所に警察車両が配置されていました。
「たくさんの警察車両が今、街を走っています。大通りは警察が警戒をしている様子が目立ちます。」
中国の衛生当局は、今月13日から19日の新型コロナに関連する死者数が1万2658人に上ったと発表しました。これは医療機関で亡くなった人だけで、実態をどこまで反映しているかは不明です。
(北里純一記者)「こちらの公園、春節恒例の出店が戻ってくるということでやってきたんですが、まだ感染対策でしょうか、まったく見当たりません。」
コロナ前は、出店が立ち並んで、大勢の人たちで賑わった公園ですが、今年は…少し飾り付けがあるくらいでした。
(北京市民)「お祭りがあると思ったのに。北京では先月、コロナ政策が緩和されて多くの人が肺炎になった。人が集まりすぎると管理が大変になるのだろう」

日本では…横浜中華街に、春節を祝う爆竹の音が鳴り響きます。
(山本将司ディレクター)「午後3時、春節を迎えた横浜中華街です。人であふれかえってますね。」
春節のイベントが3年ぶりにフル開催。銅鑼や太鼓の音に合わせ、中国伝統の獅子舞が店ごとに門付けして回ります。
多くの人で賑わう中華街ですが、中国本土からの観光客は戻っていません。
(中華料理店 店員)「前よりは人が少ないですね。(中国からの)観光客が今来ないから地元の人だけですね。」
中国政府は、これまで禁止していた海外への団体ツアーを来月6日から解禁。しかし、日本は除外されました。

▽“60分で2万人” 中国へ「ライブコマース」
中国人の来日がままならない中、新たなビジネスが活況を呈しています。
ピンクの壁紙をおろし、慣れた手つきで照明機材やスマートフォンをセッティング。始まったのは…
(インタセクト・コミュニケーションズ 王超さん)「明けましておめでとう。京都優品ライブ部屋へようこそ!味見してみます…うん!ゆず ゆず。とても香ばしい!お酒に合いますね」
SNSなどで生配信しながら商品を販売する“ライブコマース“。地元の信用金庫と協力して、京都の名産品などを紹介しています。
(コメント欄)Q. アルコール度数は何度ですか?
(コメント欄)試しに一つ買おうかな
視聴者とリアルタイムにやりとりできるのが特徴で、来日が難しい今、“買い物熱”は、さらに高まっているといいます。
(インタセクト・コミュニケーションズ 片倉一志さん)「物を通じて実感をしたい、(観光に)行った気分を味わいたいという方たちは増えている印象はあります」
(インタセクト・コミュニケーションズ 王超さん)「中国人の買い物の習慣としては、お気に入りの物があったらすぐに買っちゃう。元々の中国人のお買い物の習慣とライブコマースがすごく合っている」
この日、60分間でのべ2万人が中国から参加したといいます。ライブコマースは観光地からも…
(中国のインフルエンサー 付玉蒙さん)「後ろに見えるのは京都で有名な観光スポット、嵐山の渡月橋です。ここの景色はとても良いですね。」
案内役は、SNS上で130万人のフォロワーがいる中国のインフルエンサー。
「背中に『嵐』という文字が書いていますね。足細いね!運動しているからスタイルも良いし。(人力車は)とても重いんでしょうね」
まるで、観光地へ行ったような感覚で名産品を楽しめる疑似体験ツアーにも力を入れています。
(インタセクト・コミュニケーションズ 片倉一志さん)「コロナの規制がだいぶ緩和されたとはいえ、なかなか自分たちの楽しみも増やせない中で、その体験を周りにいるご家族とかご友人にも広めていただく。その先に今後(日本へ)来ていただくようにつなげていきたいと考えております」

▽“チャイナリスク回避” 5億円の工場新設
去年1年間の日本の貿易収支は、過去最大となる19兆9713億円の赤字。中でも、中国に対する赤字が最も多く、およそ5兆8000億円に上ります。日本では、「チャイナリスク」を回避する動きも…
東京・八王子市にあるこちらの会社。半導体の製造に欠かせない「高圧ポンプ」を中国に輸出していました。しかし…
(テクノメイト 芦田春幸社長)「(中国の)ゼロコロナ政策によって企業をはじめとして経済活動が低下してしまった。生産も落ちたために我々の売り上げが落ちてきた。中国の国内事情で施策の関係で変わってきた時には、それが直接影響してしまう。」
売り上げの35%を占めていたという中国との取引。しかし、「ゼロコロナ政策」でメーカーが休業し、現在は中国への輸出がほとんどなくなったといいます。そこで打って出たのは…
(テクノメイト 芦田春幸社長)「こちらが今回、新しく建てている工場になります」
5億円かけて工場を新設し、国内需要の掘り起こしに舵を切ったのです。
(テクノメイト 芦田春幸社長)「国内の需要を増やす事によって、チャイナリスクに対しても影響が小さくなるんじゃないかなと。中国の市場というのは非常に大きいわけで、我々にとっても無視できない市場で、それを止めるということではなくて、国内での市場の新しい分野に進出することで経営として安定できるんじゃないかなと」


1月22日『サンデーステーション』より

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