「脱トランプ」も…共和党内の二分化加速[2023/03/09 18:35]

来年のアメリカ大統領選挙に向けて、野党・共和党ではトランプ前大統領らが出馬を表明している。
前大統領が相変わらずの人気ぶりを誇示する一方で、そのトランプ氏に挑む若い世代が名乗りを挙げ、「トランプ派」と「脱トランプ」二分化が熱を帯び始めている。

報告:ANNワシントン支局 小島佑樹(メ〜テレ)

■トランプ人気 「アメリカ・ファースト」も健在

4日、首都ワシントン近郊で開かれた共和党保守系による大規模なイベント。トランプ前大統領が登場すると、この日最高の歓声わきあがり、会場は熱気に包まれた。
支持者のボルテージは最高潮、総立ちの聴衆が迎える中、イベントのオオトリを飾った演説でトランプ氏は大統領選勝利への自信を強調した。

トランプ前大統領:
「ジョー・バイデンをホワイトハウスから追い出し、アメリカを悪党どもから解放するのだ」「私たちは任務を完遂し、勝利までやり遂げる。私たちはアメリカを再び偉大な国にするつもりだ」

大統領に返り咲いた際の“公約”には、ウクライナ支援の停止やメキシコ国境の警備強化などを掲げ、支持を訴える。

トランプ前大統領:
「愚かで終わりのない外国の戦争に、無制限にお金を与えようとする党にはもう二度と戻らない」「人々はRINO(名ばかりの共和党員)やグローバリストに飽き飽きし、アメリカ・ファーストを望んでいる。これは最終決戦だ」

■イベント会場で見えた異変

保守派の支持層が求める「アメリカ・ファーストへの回帰」を全面に押し出したのには、党内で進む「トランプ離れ」の現状が関係しているようだ。
オオトリのトランプ前大統領の演説が始まる直前のイベント会場で、後方に目を向けると、実は空席が目立っていた。空席は最後まで埋まらず、演説の途中で会場を後にする人の姿も見られる。
トランプ氏の求心力に陰りが見え始めていることが分かる。

■旧政権メンバーも…共和党内の「脱トランプ」の動き

こうした隙をつくように、共和党内では「脱トランプ」の動きが加速している。
同じイベントでトランプ氏の演説に先立ち、トランプ政権で重要なポストを務めたメンバーも堂々と反旗を掲げた。

出馬を表明したニッキー・ヘイリー元国連大使:
「あなたが負けることにうんざりしているのであれば、新たな世代に託してください。党としてだけでなく、国として勝ちたいのであれば、私とともに立ち上がりましょう」

出馬が取り沙汰されるポンペオ前国務長官:
「私が仕えたトランプ政権は、8兆ドルもの新たな借金を抱えた。見苦しくて続けることはできない。信頼を取り戻すのは大変だ」

■「日本人はトランプ復権を祈るべき」 “ライバル”に高まる警戒感

中でもトランプ氏の最大のライバルと目されているのは、フロリダ州のデサンティス知事だ。イベント会場には姿を見せず、まだ出馬も表明していないが、すでにトランプ氏の元側近や支持者は今後の動向に警戒心を高めている。

トランプ政権の元主席戦略官 スティーブ・バノン氏:
「デサンティスはいい奴だが、経験がない。実地訓練する時間はないんだ」
「トランプが当選しなければ、台湾を中心に大規模な銃撃戦が起こり、日本も巻き込まれることになる。だから日本人は毎晩伏して、トランプがホワイトハウスに帰ってくることを祈るべきだ」

トランプ派支持者:
「私はフロリダ州民でデサンティスが好きだが、2024年は出馬しないとすぐに発表すべきだ」「トランプに逆らおうとすれば、彼は負けるだろう。そしてデサンティスの未来はなくなるんだ。彼の政治キャリアは終わると思う」

当のトランプ氏は大統領時代の功績をアピールし、あくまで強気の姿勢を貫くスタンスだ。

トランプ前大統領:
「ワシントンの腐敗した支配階級を相手にした大統領は、歴史上たった一人しかいない。2024年に我々が勝利すれば、さらに強くさらに早く、そしてよりうまく立ち向かうことになるだろう」

引き続き熱狂的な支持者をひき付けているトランプ前大統領。共和党内の二分化が垣間見えたイベント会場に、最後は大きな「トランプコール」がこだました。

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