世界最大級“人工衛星の展示会”300社以上が出展 日米同盟強化で日本にも熱い視線[2023/03/17 08:55]

 宇宙ビジネスの市場拡大が期待されるなか、世界最大級の人工衛星の展示会がアメリカで開かれました。日本にも熱い視線が注がれています。

 会場には300を超える企業が出展し、あちこちにアンテナも展示されるなど、宇宙への関心の高まりがうかがえます。

 アメリカのワシントンで開かれた人工衛星に関する世界最大級の展示会には、大企業からベンチャー企業に至るまで、世界から多くの企業が出展し、技術を競い合いました。

 こちらの企業のアンテナは、最も大きなものでも、4人で1時間以内に組み立てることができ、災害時に活用できるということです。

 衛星の製造から通信・観測などのサービスを含む宇宙ビジネス全体の市場規模は、2040年には現在の3倍の100兆円に達するという予測もあります。

 米CPI社(衛星通信機器)、オレ・ジョーゲン・メーランド氏:「私は本当に楽観的に予測しています。市場は大きく成長し、毎日のように衛星が打ち上げられています」

 韓国Intellian(衛星通信機器)、ブラッド・スタブロプロス氏:「過去60年にわたって衛星を使ったサービスはぜいたく品でしたが、今では誰もが利用できるようになりました。多くの人が使う、だから需要が高まるのです」

 宇宙への関心は、民間だけではありません。

 アメリカ陸軍、アンソニー・ポッツ少将:「宇宙でシステムが破壊されるとはかつては誰も考えていませんでしたが、今や状況は完全に変わってしまいました」

 国防総省は13日、来年度予算で宇宙分野に過去最大となる333億ドル(約4兆4500億円)を要求しました。

 中国やロシアを念頭に、宇宙でのアメリカの優位を維持するのが狙いです。

 そもそも宇宙で使う技術は、軍事と民間、どちらにも利用が可能です。

 米ロッキード・マーチン、ダニエル・ホーフ氏:「これはGPS衛星の一つで、アメリカ軍で利用・調達されています。当社は軍事と民間の両方で使える衛星を製造する経験を豊富に持っています」

 今年1月、日米は宇宙分野でも協力を進めることで一致。宇宙で攻撃を受けた場合は、日米安保条約第5条の適用対象となることを確認しました。

 こうした流れを受けて、アメリカの防衛大手「ノースロップ・グラマン」は15日、日本のIHIと、不審な衛星の監視で提携すると発表しました。

 米ノースロップ・グラマン、カルロス・ニーダーストラッサー氏:「日本とは長年にわたる協力関係があります。安全保障の領域で協力することが、日米の国益につながると考えています」

 衛星放送などを手掛けるスカパーJSATも、防衛分野に活路を見出そうとしています。

 スカパーJSAT・米倉英一社長:「『宇宙状況監視』は私たちが直面している最も重要なテーマの一つです」

 衛星の分野で培った経験を生かして、宇宙の監視などの分野で強みを発揮していきたいとしています。

 スカパーJSAT・米倉英一社長:「何かを攻撃するためではないわけです。自分たちの国を守る、我々の通信に使っている衛星を守る、そういう意味で宇宙空間を監視する。衛星放送はなくなりはしませんけど、成長のドライバーにはなり得ない。この宇宙の世界で日米の観点では、当社が一番いろんなコネクションがある。日本の防衛関係のビジネスにも役に立ちたい」

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