「余裕が出たころ」苦悩の声が次々と… ウクライナ避難民の“心理支援”[2023/05/01 15:47]

 ロシアの侵攻により日本に避難してきたウクライナ人の中には、この時期特有の心理的ストレスに苦しめられる人もいます。こうした避難民を支えようと無料のカウンセリングが行われています。

 「パルヨン」心理士・花村カテリーナさん:「(ある相談者は)自分だけ大丈夫な所にいるという罪悪感から、何をするにも自分を許せないという感じがありました」

 ロシアの侵攻開始から1年余り。外国人の支援に取り組む京都のグループ「外国人女性の会パルヨン」には、日本で暮らすウクライナ避難民の苦悩の声が次々に届いています。

 現在、日本では2400人ほどのウクライナ人が終わりの見えない避難生活を強いられています。戦禍を逃れた今も心理的ストレスやトラウマ、母国に残る家族や友人を心配する日々。

 「パルヨン」心理士・花村カテリーナさん:「生活の余裕が出てきたころに今までふたをしてきた感情(実は怖かったなど)が、ふたをしていたものが開いて、強烈な感情として体験されることがあります」

 この会でカウンセリングを担当する心理士3人は全員ウクライナ出身で、うち2人は去年来日した避難民です。母国の言葉、なじみのある価値観、そして同じ経験をしたからこそ、相談者がより心を開くと感じるそうです。「不安や恐怖が軽減された」「気分が安定した」などの声が多く寄せられているということです。長期化する避難生活で、さらに心理面でのサポートが必要になっていると心理士らは指摘します。

 「パルヨン」心理士・花村カテリーナさん:「1年目の節目というのは当時の体験が生々しく思い出されやすく、これからの疑問も頭に浮かんできて気持ちが混乱することがよくあります」

 去年7月に始めたオンラインの無料カウンセリングは希望者が急増していて、利用した人は先月末までで57人、実施回数は合わせて480回に上ります。予想を上回る利用希望で浮かび上がってきた課題もあるということです。心理士の人件費などに充てる資金が不足し、事業の継続が困難になってきたといいます。

 「パルヨン」代表理事、ハッカライネン・ニーナさん:「少しのお金が集まったら大きなことができるので、日本に避難しているウクライナの方々が元気に暮らせるようにちょっとしたお金をいただければ大変、力になります」

 会では先日、クラウドファンディングを立ち上げ、5月末まで広く協力を呼び掛けています。

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