「EV墓場」大量放置が中国で問題に…電気自動車急成長も「負の遺産」 シェア自転車も[2023/09/28 14:41]

 中国・浙江省で撮影された映像。大量のEV=電気自動車が放置されている。中国では電気自動車が急速に普及する一方で、「負の遺産」ともいえる「EV墓場」が問題となっている。

■雑草に埋まる…電気自動車が大量放置

 ずらりと一面を埋めつくす膨大な数の白い車。車体の背丈まで雑草が生い茂り、埋まってしまっている車もある。よく見ると、電気自動車であることを表す緑色のナンバープレートが付けられている。

 今、中国で問題となっているのが「EV墓場」だ。

 EVが大量に放置され、まるで墓場のように見えることから「EV墓場」と呼ばれ、中国のSNSに多数投稿されている。

 車内にはカギが無造作に置かれ、クモの巣まで張っている。

 講談社「現代ビジネス」 近藤大介編集次長:「乱立していた電気自動車の会社が軒並みつぶれてしまう。“EV墓場”は最近になって、言われ始めております」

■新車同然…タイヤに雑草 クモの巣も

 上海から車で2時間、浙江省・杭州市には新車同然の大量の電気自動車が放置されている。

 数百あるいは千を超えるような電気自動車が放置されているが、近所の人の話によると、去年の冬ごろからこういう状態で、車の出入りするところを見たことがないということだ。

 ここは先月末、中国メディアに「電気自動車の墓場か?」と報道された場所だ。

 中国のSNSに投稿された映像では、車の屋根まで草が生い茂っていたのだが、25日は一変してすっきり。その横では、除草剤を撒く男性の姿があった。しかし、車をよく見てみると、タイヤには雑草が絡み付いている。

 さらに、車は真新しい感じだが、クモの巣が車と車をつなぐような感じで張っている。長時間放置されているのが見て取れる。

 電気自動車が大量に置かれた場所は杭州市だけでなく、安徽省では白と青の車や緑のカラーリングの車が多数止められ、広東省ではワゴンタイプの電気自動車が広場に敷き詰められている。

 別の映像では、ドアが開けっ放しになり、タイヤはパンクし、ボンネットが空いてしまっている車や、フロントバンパーが丸ごと外れた車もある。

 同じ車種だろうか、セダンタイプの白い車が何列にもわたって整然と止められている。

 中国政府は2001年、電気自動車を中心とした新エネルギー車の開発を国家プロジェクトにした。電気自動車の製造や購入に対し、多額の補助金を出したことで、中国の電気自動車業界は急速に成長した。しかし…。

■電気自動車 補助金で急成長も「負の遺産」

 おととし、浙江省・杭州市で大量に放置された電気自動車。車の窓が開けっ放しになり、車の屋根くらいまで雑草が生い茂っている。300メートル四方の土地に、およそ2000台の電気自動車が所狭しと止められていた。

 おそらく同じ車種だと思われるが、車の側面に「予約」という文字がある。この番号にかけて、この車を予約してくれということなのだろうか。

 放置されている同じタイプの白い車は、政府の補助金で製造され、EVカーシェア事業に利用されていた。

 しかし、より優れたEVの登場や便利なネットタクシーの普及などで、レンタルする利用者が減り、2019年ごろから放置された状態になったという。

 地元住民:「(Q.車はいつから放置されている?)知らないわ。昔からじゃない?」「電気自動車の墓場です」

■シェア自転車が20万台放置 供給過多で墓場に

 「墓場」は電気自動車の他にもある。シェア自転車が辺り一面を埋めつくしていて、地元では墓場と呼ばれている。

 無造作に積み上げられた自転車の山。西安では、サッカー場5面分の空き地に、およそ20万台の自転車が放置される事態になっている。

 中国では、2016年ごろからシェア自転車が爆発的に普及。供給過多になったり、違法に駐輪されたシェア自転車が集められたりして放置され、社会問題となっていた。

 近藤編集次長:「中国は社会主義の共産党一党独裁政権ですので、共産党が方針を定めると、その方向に進んでいくのが特徴。例えば過去にはマンション開発もそうですし、自転車のシェアのこともそうでした。ブームが終わったり、不景気になったりすると、一気に引いていく」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年9月27日放送分より)

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