国内屈指のリゾート・ニセコで“海外客バブル”経済活性化 「春節」で意外な目的地も[2024/02/11 23:30]

今、中国などでは「春節」の大型連休真っ只中。
日本を訪れる中国人観光客を取材すると意外な目的地が見えてきました。

■「流氷ツアー」「早咲きの桜」中国人観光客に異変

きょう11日、静岡県河津町。間もなく満開を迎える河津桜を見に多くの人が訪れていました。
桜をスマホで撮影しているのは中国・広州から来日したという3人家族。土産物にも興味津々…
(中国・広州から来た家族)「私が好きなおやつなんです。日本のおやつが大好きなんですよ」
でも一体なぜ、ここに来たのか聞いてみると…
(中国・広州から来た家族)「(SNSで見て)わたしが思った景色と全く同じでした。(ここは)人気だけど混みすぎてなくていい中国の景勝地は大変混んでいるからね」
10日から始まった中国の旧正月・春節。延べ90億人が移動すると言われていますが、日本に来る中国人観光客は…コロナ前には戻っていません。上海から来たこちらの男性に聞いてみると…
(上海から来た家族)「外国旅行する人はコロナ前より少なくなりました。特に団体旅行が減りました。個人旅行が好きな私にとってはいいことです。北海道に行きます。砕氷船に乗って流氷を見に行きます。」
この日、男性は家族と共に北海道へ…
(上海から来た家族)「紋別に着きました。流氷が漂う地域です。これから砕氷船に乗ります。」
流氷の中を突き進む砕氷船に乗りこみ、いざ出発。
夕陽の中を進む船。幻想的な風景が広がります。
(上海から来た家族)「北海道の雄大さとワイルドな一面を見ました。とても良かったです。北海道は3回目ですが、また来て色々な季節の魅力を楽しみたいです。」

札幌雪まつりは、この日が最終日。大谷選手と愛犬デコピンの雪像は大人気で、多くの人がカメラに収めていました。函館朝市にも、活気が戻ってきました。
(坂詰怜記者)「この場所すごい人ですね。函館朝市のイカの釣り堀なんですが、ぐるーっと取り囲むように50人ぐらいが行列を作っています。」
「おー上手…」
(店員)「上手でした」
(店員)「春節と重なって3連休ですよね、日本人も外国人もたくさん来てきのうからにぎわっている。私たちも久々ににぎわいを味わっています。」

■3800円のラーメンも…ニセコで“海外客バブル”

国内屈指のスキーリゾートとして、近年、海外の富裕層から熱い視線が注がれているニセコエリア。
(佐々木一真アナウンサー)「こちらはニセコエリアの駅なんですけど、こちらのタクシーは足立ナンバーですね」
ニセコになぜか東京のタクシーが…。実は去年12月、ニセコ町と地元のハイヤー協会などが連携し、東京などから車両と運転手を派遣する実証実験を始めました。ニセコの道を走ったことがない運転手は…
(札幌から来たタクシー運転手)「アプリで降車地とかを設定しているので、英語をしゃべれなくても仕事には全然支障ないです」
外国人を中心に利用者は増え、今や一日平均180件以上あるといいます。

(佐々木一真アナウンサー)「北海道ニセコエリアにあるスキー場です。リフト乗り場はご覧の行列となっています。ほとんどが外国人観光客の方でして日本語が聞こえてこないほどです」
(香港からの旅行客)「パウダースノーがあるから来ています。最近来たのはクリスマスで1年に3回来ています」
(佐々木一真アナウンサー)「こちらはスキー場にあるレストランですが、カツカレーは1つ2400円で販売されています」
醤油やみそラーメンは1900円。かにラーメンはその倍の3800円。それでも外国人は…
(アメリカからの旅行客)「日本円が安いので(このポテトを)余分に買い増した。ここは安いと思います。とてもうれしいです。」
一方、2400円のハンバーガーを食べている日本人は…
(札幌からのスキー客)「高いですよね!倍以上の相場だと思うので。旅行に来た気分で割り切って食べています」
なぜここまで価格が上がったのか…スキー場の担当者は…
(ニセコHANAZONOリゾート・上原子次郎ゼネラルマネージャー)「もちろん食材費ですとか燃料費の高騰もありますけど、人件費(の高騰)もあって(時給)2000円を超えている職種もありますね。札幌市内で同じ人を雇うより何10%も費用はかかっていると思います」

実は今、ニセコでは、現地で働く人材の獲得競争が起きていました。
(青森県から働きに来た坂野真由美さん(37))「待遇に関しては、このホテル内できちんと食事や衣食住がついているのですごく助かっています」
(佐賀県から働きに来た於保由理華さん(27))「すごく良くしていただいて、しっかり住む所も管理されているのでありがたいなと思います」
ニセコエリアにあるこちらのホテル。3月までの繁忙期を乗り切るため、期間限定で働くスタッフに手厚い待遇をしているといいます。
(トリフィートホテル&ポッド ニセコ 高橋寛支配人)「こちらのお部屋ですけども、お客様にご提供はしているのですが、この時期は派遣スタッフの方にもご利用いただいています。他のホテルも当然人を確保しなきゃいけないわけですので、差別化をはかる意味では、やはり待遇面にしっかりサポートしていきたいと思っております」
それだけではありません。当然、給与についても…
(高橋寛支配人)「働く方の募集の費用ですね、(時給)100円から200円上げております」
派遣会社に支払う時給は、去年より引き上げ、現在1800円から2000円だといいます。このホテルでは、去年夏から人材獲得の準備を始めた結果、今シーズンは11人のスタッフを採用することができました。
(高橋寛支配人)「稼働率に関しましては、この期間(春節)だけ数字で見ると高くなってますね」
スタッフが確保できたことで、連日ほぼ満室が続いているということです。
(高橋寛支配人)「働く方がいなくては、当然ご利用いただく方というのは増えませんので、まずはしっかりと働く方をサポートしてお客様に喜んでいただける施設にしたいと思っております」

去年11月からニセコに働きに来ている25歳の男性。外国人のルームメートと会社の寮で暮らしています。
(千葉県出身の男性(25))「日中はレンタルショップでスキーとかスノーボードの貸し出しをやっていて、夜空いている時間で日本食レストランで働いています。本業(レンタルショップ)の方が時給1600円で、夜の日本食レストランの時給が1800円。時給1800円は、東京とかで探しても見つからないと思うので」
ニセコで働く一番の理由は、高い時給です。
(千葉県出身の男性(25))「どこか高いところがあったら、他は上げないと、そこは人が来なくなってしまうので、来年になったら、時給2000円の求人がもっと出てくるかなと思ってるので」
仕事の合間に大好きなスノボを楽しめたり…
男性(25)「行きたいと思っていた」
ルームメート「とても良いよ」
男性(25)「雪が深いんでしょ」
ルームメート「とても深かった」
英語の語学力が自然と身につくのも、ニセコへ毎年来る理由だといいます。
(千葉県出身の男性(25))「やっぱり外国人の方が住み込みだったり、観光で来てくれるおかげで冬の間、街が盛り上がって、たくさん働けてたくさん稼げる。これが外国人いなかったらこういうふうにはなっていないだろうなと思います。」


2月11日『サンデーステーション』より

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