衝突から半年 ガザ住民語る窮状…物資届かず飢餓悪化 “家族の死”に苦しむ子どもたち[2024/04/13 18:10]

 イスラエルとイスラム組織「ハマス」の衝突から半年が過ぎました。依然、戦闘が続くなか、物資も不足し、飢餓状態が悪化しています。パレスチナ・ガザ地区の住民がANNの取材に窮状を語りました。

パレスチナ子どものキャンペーン ハリールさん
「提携団体とラマダン中の夜明け前の食事の準備をしています」

 この小さな袋が1世帯7人、1週間分の食料だといいます。

 ガザ地区南部・ラファで、わずかに手に入る食料を市民に配り続けている日本の支援団体「パレスチナ子どものキャンペーン」の現地スタッフ、ハリールさんとオンラインでつなぎ、話を聞きました。

パレスチナ子どものキャンペーン ハリールさん
「(侵攻開始から半年以上)人々は苦しみ続けています。1000もの問題があります。病気に苦しみ、爆撃に苦しみ、死に苦しみ、飢えに苦しんでいます。食料もありません。飢餓は大きな問題で、水さえ手に入らないこともあります」

 食料は日を追うごとに手に入りづらくなり、ハリールさん自身もこの半年間で約40キロ体重が落ちたといいます。

パレスチナ子どものキャンペーン ハリールさん
「こんにちは、ハリールです。状況は今も非常に悪いままです。すべてが悪化の一途をたどっています」

 ハリールさんはスマートフォンでガザ市民の声を撮影し、支援団体を通じて世界に配信しています。

 配給所に家族の食料を受け取りに来た13歳の少女に話を聞いた時のことでした。

パレスチナ子どものキャンペーン ハリールさん
「何人でこの炊き出しを食べますか?」

ガザルさん
「家族6人です。兄弟がいたのですが…戦争で亡くなってしまいました」

パレスチナ子どものキャンペーン ハリールさん
「あなたは本当に頑張っていますよ、ガザル。お悔やみ申し上げます。元気を出して」

 毎日のように家族を失った子どもたちと出会うといいます。

パレスチナ子どものキャンペーン ハリールさん
「10歳か12歳くらいの子どもに話を聞くと、どのように苦しんでいるのか、兄弟がどのように亡くなったのか、兄弟や姉妹が殺されるのをどのように見てきたか説明してくれます。例え戦争が終わっても彼らは一生、精神的に苦しむことになるでしょう」

 日本からも支援を試みています。

 ハリールさんとともにガザ地区の支援を続けているパレスチナ子どものキャンペーンの手島さんは去年12月、支援物資をガザ地区に入れるため境界を接するエジプトに渡りました。

パレスチナ子どものキャンペーン 手島正之さん
「ガザの中に(物資が)あるのは確認できているのですが、ガザの中でイスラエル軍が管理している検問所のエリアがあって、そこにアクセスがなかなかできない。ロジスティクスの色々な課題がどの地点でもあるんです」

 物資を調達してから4カ月以上が経ちましたが、必要とする人たちのもとには届いていません。

ユニセフ イングラム広報官
「私たちは様々な課題に対処し、命を救う援助を届けるため日々、最善を尽くしています。緊急かつ長期的な人道的停戦が今、必要なのです」

 現地で活動を続けるユニセフの職員も子どもたちへの支援が圧倒的に不足していると指摘します。

ユニセフ イングラム広報官
「私はけがをしたたくさんの子どもたちに会ってきました。手足や、その両方を失ったり、愛する人を亡くした子どもがたくさんいます。安全できれいな水の不足、食料の不足、病気の増加のほか、医薬品や清潔な衣服、衛生用品が手に入らず、子どもたちの命が奪われ始めています」

 今月7日には、イスラエル軍は1個旅団を残してガザ地区南部のハンユニスから地上部隊を撤収させたと発表しましたが…。

ユニセフ イングラム広報官
「今も戦闘機やドローンの音が聞こえていて、昨夜(7日夜)はラファも非常にうるさかったです。必要なのは停戦であり、戦闘を止めることです」

 いまだ停戦交渉に大きな進展はなく、犠牲者は増え続けています。

こちらも読まれています