ラファ難民キャンプ空爆で45人死亡…強まる「イスラエル批判」欧州で“態度転換”も[2024/05/28 23:30]

イスラエル軍が26日、ガザ地区南部ラファの難民キャンプに空爆を行い、45人が死亡しました。最近のイスラエルの姿勢には世界中が批判を強めていて、ヨーロッパの中でも態度を変える国が出てきました。

■難民キャンプに空爆 45人死亡

空爆が行われたのは、戦火を逃れようと人々が身を寄せ合っていた場所です。布でできたテントは燃えやすく、それだけ被害を大きくしました。イスラエル軍いわく「ハマスの拠点に対する精密な空爆」。その結果、45人が亡くなりました。半数以上が子どもや女性、お年寄りだといいます。

家族を亡くした男性
「身内は他に誰もいない。逝ってしまった…」「これは兄弟の妻だ。子どもを残して逝ってしまった。子どもには罪はないのに孤児になってしまった」

空爆があったのは、ICJ(国際司法裁判所)がラファへの攻撃を即時停止するよう命じてから2日後のこと。それだけに国際社会からの非難も激しくなっています。

EU ボレル上級代表
「イスラエルは停止命令を無視し、軍事行動を続けています」

ネタニヤフ首相はこう釈明しました。

イスラエル ネタニヤフ首相
「ラファではすでに約100万人の(戦闘に)関与していない市民を避難させ、市民に危害を加えることがないよう最大限の努力をしたが、遺憾ながら悲劇的な出来事が起こってしまった」

■欧州3国 パレスチナを“国家承認”

ネタニヤフ政権に対する圧力が国内外で高まっています。先週発表されたヨーロッパ3カ国によるパレスチナの国家承認の正式な手続きが行われました。

スペイン サンチェス首相
「この歴史的決定の唯一の目的は、イスラエル人とパレスチナ人の平和に貢献することです」

アイルランド マーティン外相
「イスラエルとパレスチナ双方を国家承認するのは、両国民の関係が正常化した未来を望むからです」

ノルウェー アイデ外相
「ヨーロッパ諸国の多くは承認の意向か検討中なので、我々に続いてほしい」

これまでパレスチナを国家として承認してきたのは、アジアなどを中心に約140の国。ヨーロッパでは少数派ですが、今回3カ国が新たに加わりました。

イスラエルによる殺戮が続く中、承認していない他のヨーロッパ諸国にも変化が起き始めています。

フランス マクロン大統領(2月)
「2国家解決を実現するために、まず“勢い”が必要です。パレスチナの国家承認はフランスにとってタブーではありません」

3カ国が承認したことについて、あるアラブ国家の外交官はこう語ったといいます。

アラブ国家の外交官(BBC)
「イスラエル政府が聞く耳を持たないことに対する、ヨーロッパの不満の表れだ」

しかし、イスラエルは国家承認は「テロへの報酬」になるとして猛反発しています。イスラエルの外相のSNSには、ハマスによる襲撃とフラメンコの映像を織り交ぜながら「ハマスはスペインに感謝している」と主張する投稿をしました。聞く耳を持つ気配はありません。

大越健介キャスター
「ヨーロッパ3カ国の決断は静かに、しかし確実に国際社会に波紋を広げているようです。アメリカが同調することはないにせよ、ネタニヤフ首相は国際的な孤立の色を深めていると思います。ガザ地区への容赦ない攻撃を続けることは、住民の尊い命を奪うのみならず、ネタニヤフ首相自身の政治生命を追い詰める形となっています」

こちらも読まれています