イスラエルによるガザ侵攻をきっかけに、国際社会ではパレスチナを国家として認める動きが広がっています。そうしたなか、国連安全保障理事会の常任理事国であるフランスも正式に承認を表明しました。常任理事国で承認していないのは、アメリカのみとなります。
■「承認」した国は合計150以上に
フランス マクロン大統領
「時は来ました。イスラエルの人々とパレスチナの人々との平和のために、私はきょうここで宣言します。フランスはパレスチナを国家として承認します」
日本時間23日午前4時ごろ、アメリカのニューヨークで開かれた国際会議でこう訴えたマクロン大統領。これまでにイギリス、カナダ、オーストラリアなどが相次いでパレスチナを国家として承認してきましたが、フランスが加わったことで「承認」した国は合わせて150以上になりました。
すでに中国とロシアも承認しているため、国連の常任理事国で「未承認」なのはアメリカだけです。
しかしトランプ大統領は、次のように話します。
「(スターマー首相とは)意見の相違があります。私たちは戦闘をやめてほしいと思っています。しかし、ハマスが人質を盾にして攻撃を行うと言っていることを考えると、非常に残酷です」
イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナの国家承認は“ハマスを支持することになる”と強く反発しています。
イスラエル ネタニヤフ首相
「テロリズムへの多大な褒美になります」
フランスが国家承認を表明した国際会議には、日本から岩屋毅外務大臣が出席していましたが…。
岩屋外務大臣
「日本政府としては今回の国連総会のタイミングでは、パレスチナの国家承認を行うことはしないとの判断をした。最も重要なことはパレスチナが持続可能な形で存在し、イスラエルと共存すること。我が国は二国家解決というゴールに一歩でも近づくような現実的かつ積極的な役割を果たし続けます」
朝日新聞によりますと、複数の日本関係者によると、アメリカ政府はパレスチナを国家承認しないように日本に非公式で要請したといいます。そんな状況で国家承認を行うことで、アメリカが反発することを懸念する意見が政権内で出たということです。
東京大学 鈴木啓之特任准教授
「アメリカとイスラエルとの外交関係・同盟関係というのは、日米同盟にも匹敵するくらい強固なもの。パレスチナを国家承認することで、日米間の関係に影響が出る。これを政府としては恐れたのではないかなと」
専門家は、パレスチナを国家承認する動きの影響力についても疑問を投げかけています。
鈴木特任准教授
「イギリス、フランスという各国がパレスチナ国家を承認するといっても、実は30年前に比べればパレスチナ人が管理している土地というのも少ないですし、パレスチナ人が及ぶ権限も著しく毀損(きそん)されている。名ばかりの国家承認であると言わざるを得ないわけです。この点については、評価として留保せざるを得ない」
(「グッド!モーニング」2025年9月23日放送分より)
フランスがパレスチナを国家として承認 日本は見送り…トランプ政権意識か
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