いまだに270人以上が行方不明となっている香港の高層マンション火災。今も煙が上がり続けています。日本でも同様の火災が起きる可能性はあるのか、専門家に聞きました。
■香港大規模火災 死者55人に
21階に住む人
「きのう午後2時50分にサイレンの音がした。その時に隣人が下の階から駆け上がってきて早く逃げて!と言った。他の棟が燃えているよ!と叫んでいた」
住人たちもまだ、詳しい状況は把握できないままです。
31階建てのタワーマンション。1本の木が燃えるかのような速度で炎にのみ込まれてしまいました。
消防隊員
「どいてどいて」
26日、香港北部・大埔のマンション7棟で発生した火災。55人が死亡し、270人以上が行方不明のままです。
■マンション火災 日本は大丈夫?
大規模な延焼により難航する消火活動。日本の高層マンションでも同じ規模の被害は起こりうるのでしょうか。
去年、東京・荒川区の39階建てのマンションで発生した火災。5階の火元の部屋からは大きな延焼がないことが確認できます。
元麻布消防署長 坂口隆夫氏
「日本のマンションでは香港のような火事は起きない」
元麻布消防署長の坂口さんによると、注目すべきは香港との3つの違い。1つ目は高層マンションの構造です。
坂口隆夫氏
「日本のマンションの住戸は床や天井が耐火構造等によって区画をされている。出入り口には燃えにくい防火扉が設置されている。火災を起こしても、上の住戸、あるいは両隣りの住戸に延焼しない構造になっている」
さらに香港の現場では、改修工事が行われていて、外壁などに防火基準を満たしていない建築資材を使っていた可能性が浮上。
日本では工事の足場から燃え広がることは考えられないといいます。
2015年に都心で発生した火災の映像。
2つ目の違いは、避難の設備です。
坂口隆夫氏
「特に15階以上の高層マンションになると、通常の安全性の高い避難階段よりも、より安全性の高い特別避難階段の設置が義務になっている」
香港では発生直後から「逃げられない」という通報が相次いでいました。
坂口隆夫氏
「(日本の高層マンションでは)避難階段も基本的には耐火構造等の壁で区画され、防火扉が設置されているので、煙や炎は基本的には中に入らない」
最後のポイントは、消火の方法です。
都内の火災も、はしご車の届かない地上およそ70メートルの場所で起きましたが、高層階でも建物内部から速やかに放水できる設備が使用され、およそ2時間半で火は消し止められました。
坂口隆夫氏
「ホースを持っていけば、燃えている階で送水口にホースを結合して延長し活動ができる」
一方、香港の現場での消火設備について、詳しい状況はまだ分かっていません。
■消防1200人 懸命の消火活動
香港の火災現場には尾崎記者がいます。消火活動は現在も行われていますか。
今もはしご車による放水が続けれられています。
ただ、夕方くらいまでは時折ビルの間から激しい真っ赤な炎が噴き出すこともあり、その度に現場は騒然としていました。
発生から24時間以上が経っていますが、焼け焦げたにおいがまだ漂っていて、黒煙が立ち昇る様子も確認できます。
特に印象的なのが、見上げるようなビルの高さです。
30階以上も高い階になればなるほど、救出は非常に困難になるということを聞いています。
ただ、そんななかでも昼に31階から高齢の男性が救助されるという知らせも入りました。
現場では1200人以上の消防隊員が消火など、色々な活動をしています。
今も緊張感が続いています。
香港高層マンション火災で死者55人に 日本は大丈夫?注目すべき“3つの違い”
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