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2025年6月15日 16:46

イランVSイスラエル、全面戦争の可能性は?「モサドの工作は準備万端だった」「悪いのはトランプ氏」舛添要一氏が解説

2025年6月15日 16:46

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 イランとアメリカによる核開発についての交渉が難航し、軍事行動の緊張感が高まっていた中、イスラエルが突如イランの核施設を空爆した。イスラエル軍は、イラン軍高官らを殺害したと発表。イランも無人機で報復攻撃を行うなど、大規模な衝突に発展する恐れもある。なぜこのような事態になったのか。国際政治学者の舛添要一氏が解説した。

【映像】空から大量の爆弾が降ってくる様子(実際の映像)

 6月13日、イスラエルがイランへの空爆を開始。核関連施設を攻撃対象とし、イランのメディアによると、イラン軍高官のほか、核開発に携わっていた科学者6人が死亡した。

 首都テヘランへの空爆では、住宅地が被害にあい、複数の子どもが死亡したという。この攻撃にイラン最高指導者のハメネイ師「この攻撃により、イスラエルは自らを苦い運命に落とし込んだ。必ず、その報いを受けるだろう」と報復を宣言。

 イスラエル軍によると、イランから100機以上のドローンが発射され、「すべて迎撃」したと発表された。

 しかし、緊張度が高まっていたのは、むしろアメリカとイランとの間。安全保障上の懸念を理由に、イラク、バーレーンとクウェート3カ国の大使館職員らの退避が進められていたという。これは、6月12日、イスラエルによるイラン攻撃の前日の出来事だった。

 4月からアメリカはあわせて5回、イランとの核交渉、つまりイラン側の核開発停止を求めていたが、イラン側の譲歩を引き出せず交渉は難航。トランプ大統領は応じないイランに対し、武力行使の可能性も示唆していた

「(イランは)核兵器保有にかなり近付いている。厳しい措置を取らないといけない場合、我々はそうするだろう」(トランプ大統領)

 これに対しイラン側も応戦。「協議が成功せずに我々に対して紛争が仕掛けられれば、より多くの被害が出るのは相手の方だ。(中東地域の米国の)すべての基地は我々の射程内にあるからだ」(イラン・ナシルザデ国防軍需相)

 一触即発の状態のまま、6回目の交渉が15日に予定されていたが、イスラエルの攻撃はまさにその隙をついた形となった。なぜこのタイミングとなったのか。様々な憶測が飛び交うなか、舛添氏は「イスラエルに大義名分を与えてしまった」と語る。

 イスラエルとイランの武力衝突の背景を知るためには、イスラエル、アメリカとイランの関係を知っておく必要がある。現在、イランとアメリカの間では国交断絶状態がおよそ45年間続いており、さらにイランはイスラエルを「国家」として承認していない。

 一体なぜ、この3カ国の関係はこれほどまでにこじれてしまったのか。イランとアメリカの関係がこじれたきっかけがイラン革命(1978?1979年)だ。親米の国王(パーレビ2世)による統治で貧富の差が拡大し、国民の不満が爆発。亡命中だったイスラム教・シーア派の指導者ホメイニ師が帰還。一気に政権を掌握。最高指導者の座に就いた。

 国王はアメリカに逃亡。この革命によって1979年、イスラム原理主義の「イラン・イスラム共和国」が樹立し、反米の姿勢を強めることになる。

 この反米のうねりは前代未聞の事件を引き起こす。首都テヘランで起きた「アメリカ大使館占領事件」。反米思想の学生たちがアメリカ大使館に突入し外交官などを人質に立てこもった。アメリカに逃亡した前国王の身柄引き渡しを求め、彼らが立てこもったのは400日以上。この事件を機にアメリカはイランとの国交を断絶した。

 もう一つ関係を悪化させているのが、今回のイランの核開発問題だ。2002年、イランで未申告の核開発が明るみになった。イランは一貫して「平和利用」を主張するが、それに疑いの目を注ぐアメリカなどはイランに経済制裁を実施。

 2015年、オバマ政権がEUやロシア、中国とともにイランの核開発を制限する見返りに経済制裁を緩和する「合意」を結んだが、2018年、第一次トランプ政権が一方的に合意から離脱。イランへの制裁を再開し、事実上の対イラン原油取引禁止措置を講じたことでイランも核開発を再開させた

 なぜ、イランは合意しないのか。舛添氏は「ウクライナの二の舞にならないか慎重になっている」と分析する。

 イランは1979年のイラン革命以来、イスラエルを国家として認めていない。イスラム教徒が98%を占めるイランにとって、イスラエルはイスラム教の聖地、エルサレムを奪った「イスラムの敵」。パレスチナに民族自決を求める立場から、ガザ紛争でイスラエルと戦うハマスを全面支持。これまで、イランとイスラエルは2度、攻撃の応酬があった

 2024年4月、イスラエル軍とされる戦闘機によって、シリアのイラン大使館領事部が空爆。これに対し、イランは200以上のミサイルやドローンで攻撃。7月にはテヘランでハマスの最高幹部が爆発によって殺害。イランはイスラエルによるものとし、180発以上のミサイルをイスラエルの空軍基地などに撃ち込むなど、一触即発の緊張感は続いていた。

 さらに、レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の弱体化やシリアではアサド政権が崩壊するなど、イランを後ろ盾とする反イスラエル勢力「抵抗の枢軸」の力が中東で急速に弱まっていることもイスラエルにとってはイランを叩く好機と捉えたのかという見方もある。

 6月12日、IAEA国際原子力機関でイランが核査察の受け入れに違反していると認定する決議も採択。攻撃はその翌日に行われた。イランの国連大使によると、イスラエルの攻撃を受け死亡したのは78人。そのうち、30人は子どもだったという。イスラエルを支援するアメリカを「共犯者」と批判した

 さらに、イランは報復として、およそ200発の弾道ミサイルを発射。イスラエルメディアによると、これまでに9発のミサイルが迎撃されずに住宅地などに着弾。およそ70人がケガをし、3人が死亡したという

 イスラエルの国防相は「イランは一線を越えた」と述べ、大きな代償を払うことになると主張した。そして、トランプ大統領は「次の攻撃はさらに残虐なものになるだろう。手遅れになる前に交渉のテーブルに着くべきだ」と警告した。

 6月15日(日本時間)時点で、双方の攻撃の応酬が続いており、100人以上がケガをし、30人以上が行方不明で、現在も救助活動が続いているという。

 今回イランへの攻撃に踏み切った背景として、舛添氏は「いずれにしても(イランが)核兵器を作っているのではないかという疑惑が起こり、2011年に、核兵器開発の証拠を発見し、国際的な疑惑が高まった。2015年に諸外国が集まって核合意を行い、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国、全部集まって合意して、『もう核兵器やめなさい。原発のような平和利用はいいですよ。やめれば、もう制裁もしないし、経済も良くなりますよ』と。その時のイラン政府は『わかりました、ちゃんと守ります』ということで一件落着した」と語る。

 その後、トランプ政権が誕生した。「私に言わせると、トランプ氏が悪い。第一次トランプ政権の2018年、アメリカだけが核合意から抜けちゃった。トランプ氏は絶対イランを信じていないので、イランに有利なことは抜ける。そうするとイランも、穏健派(改革派)の政権があったら、次は保守派でガチガチの対米強硬派が出るという順番になっている。対米強硬派が『アメリカがそこまでやるなら、核開発をやってやろうじゃないか』と喧嘩になってしまった。バイデン氏が大統領になった時に、戻ることに成功しなかった。そうして、またトランプ氏が来て、戻るどころか、イランはひどいじゃないかと言い始めた」と説明した。

 また、今回の先制攻撃に関して「すごかったのは(イスラエルの諜報機関)モサドがイラン国内で数年がかりで工作をやっている。イランの司令官、核兵器を作る科学者が全員殺された。朝何時に起きて、大学の研究室に何曜日に行ってなど全部調べる。全部の行動を把握してみんなが揃ったところにミサイルを撃ち込む。また、空爆する時に、下から迎撃されるといけないので、迎撃システムを事前に壊す。その工作員も張り巡らせている。イランの中にバレるからイラン人だと思うが、イスラエルの工作員が山ほどいる」と準備万端だったと解説した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)