アメリカ・ミネソタ州で14日、民主党の州議会議員とその家族が銃撃され、4人が死傷しました。
亡くなったのは、ホートマン州議会議員とその夫。ホフマン州議会議員と、その妻は、複数カ所を撃たれ、重傷です。
バンス・ボールター容疑者（57）は、警察官に変装し、議員達の家を襲撃しました。
逮捕後、約70人が標的になっていた可能性がわかりました。そして、容疑者は、敬虔な福音派の信者で、人工妊娠中絶に強く反対していたことです。
襲撃時のボールター容疑者は、シリコンのマスクをかぶり、警察官の制服を着ています。「警察だ。ドアを開けろ」と叫び、拒否したホフマン議員夫妻に向け、ドア越しに何発も発砲しました。
続いて、ホートマン議員の家に向かいます。ここでは、通報を受けた本物の警察官が駆け付けると、家の外には偽物のパトカーが停まっていました。
ドアの所にいたボールター容疑者は、家の中に向かって発砲した後、駆け付けた警察官たちと銃撃戦になります。その後、43時間逃走し、自宅近くで逮捕されました。
新たにわかったのは、偽物のパトカーの中から、自動小銃や小型爆弾、反トランプ集会のちらし、そして、手書きのリストが見つかったことです。
リストには、州内の民主党関係者や、人工妊娠中絶を支援している団体。そして、ウォルズ州知事の名前と住所も書かれていました。
ウォルト州知事は、さきの大統領選で、民主党の副大統領候補になっていた人物です。
「政治的動機の暴力です。平和な議論が民主主義の基礎で、意見の相違の解決は暴力や銃で銃ではありません」
動機は、まだはっきりしていません。
かつては福音派の宣教師としても活動していたボールター容疑者は、当時、信者たちに、こう話していました。
「イエスの声を聞かない教会には、悪魔が入り込み、中絶が間違っているということさえわかっていない」
LGBTQも批判し、最近は、トランプ大統領を熱烈に支持していたそうです。
ただ、小学校のときからの付き合いで、いまも大親友である人物は、こう話します。
「彼は、人気者で、みんなから好かれていました。牧師・宣教師として、いつでも人助けに熱心でした。彼があんなことになったのがショックで…」
福音派に目覚めたのは、大学生のときだそうです。
「私が大学から帰省したとき、彼が信仰に目覚めていて、故郷の公園で暮らしながら、福音を説いていると聞きました。それまで宗教の話をしたことがなかったのに、すっかり別人のようでした。金もうけに躍起になっていました。時間が経てば、落ち着くかと思っていましたが、プツンとキレてしまったみたいです。彼は祈りを捧げるのを止め、神の声を聞かなくなり、闇に落ちたんです」
アメリカでは、政治家を狙ったテロが何度も起きてきました。
これは、党派を超えて批判すべき事案であり、対立を諫める声が必要なときでもあります。ただ、トランプ大統領は、事件後、「残虐な暴力は、アメリカ合衆国において決して許されない」とSNSに投稿するにとどまっています。融和を訴えたり、州知事に慰めの言葉をかけたりはしていません。
「州知事に電話するつもりはない。容疑者を採用したのは知事本人で、イカレているんだろう。声をかけてやったところで、あいつは何のことかわからんだろう。電話してやってもいいが、時間の無駄だ」
今月27日に公判が行われ、検察は、ボールター容疑者を仮釈放なしの終身刑、第1級殺人を求刑する見込みです。