13日に始まったイスラエルとイランの軍事衝突だが、なぜ今、起こったのか。また日本への影響はあるのか。中東現代政治が専門の東洋英和女学院大学・池田明史名誉教授に聞いた。
まず、なぜイスラエルはイランの核施設への空爆を開始したのだろうか。池田氏は以下のように解説する。
「一番大きな理由は、イランの核武装が目の前に迫っている焦燥感や危機感だろう。また、今のイスラエル政権が戦時内閣という形を続けなければ連立がもたない。ガザやヒズボラはほとんど軍事力をなくしているためだ」(東洋英和女学院大学・池田明史名誉教授、以下同)
ではイスラエルとイランは、軍事的にどのくらいの戦力差があるのだろうか。池田氏は「圧倒的にイスラエルが上だ」と主張する。
「イランの人口はイスラエルの約9倍だが、軍事力に関しては圧倒的にイスラエルが上だ。特にいわゆる防空能力(自分の領空を守る力)に関しては、イランはほとんど壊滅されている。一方イスラエルは、イランから飛んでくるミサイルの約9割を打ち落とす能力を維持している。この防空力とイランはほとんど空軍がないため、イスラエルが一方的に叩きに行っていることを考えると、軍事的には圧倒的にイスラエルが有利ということになるのではないか」
また池田氏は現在の状況から、イスラエルが優位な状況であると説明する。
「まだ数十発あるいは百発単位でイランからも飛んできている。一定の実害を与えているのは事実だが、イランに対して与えているダメージと比べると、おそらく比べ物にならないと思う」
日本や世界経済への影響は?

15日にはイランの石油施設なども攻撃を受けているが、石油などのエネルギー価格への影響は今後どうなるのだろうか。
「中東、特にペルシャ湾からの油や、他のエネルギー資源の安定的な供給を不安にするもので、エネルギー価格は上がっていくと見た方が良い。世界経済への打撃はあるだろうと思う」(東洋英和女学院大学・池田明史名誉教授、以下同)
G7がイスラエル支持を表明している一方で、石破総理大臣はイスラエルの攻撃を到底許容できないと非難している。これを池田氏は以下のように分析する。
「日本はイスラエルともイランとも関係を持っているため、どちらかの側に完全に加担するわけにはいかないのだろう。基本的にイスラエルの自衛権は認めるが、核施設などへの先制的な軍事攻撃は“もってのほかだ”というくらいの立場」
(『ABEMAヒルズ』より)