アメリカのトランプ大統領は、ブラジルに対して貿易黒字であるにもかかわらず50%もの関税をかけると発表して猛反発を招いています。
トランプ氏 ボルソナロ氏の訴追を批判
これまでにトランプ大統領が一方的に8月以降の関税率を通告した国は、日本を含め22カ国になります。
9日に発表した8カ国のうち7カ国は20%〜30%でしたが、ブラジルに対しては50%もの関税を課すと宣言しました。当初予定していた関税は10%でした。
「ブラジルの関税や非関税政策、貿易障壁によって長年続いてきた、非常に不公平な貿易関係から脱却しなければなりません」
相互関税はアメリカの貿易赤字解消が目的のはずですが、およそ1兆円(68億ドル)貿易黒字のブラジルに対して、最も高い50%の関税を課すというのです。
書簡の冒頭の書き出しも21カ国に対しては「光栄です」と始まるのに対し、ブラジルには。
ボルソナロ前大統領といえば、ブラジルの新型コロナの患者数や死亡者数が世界2位だった2020年…。
「コロナはただの風邪です」
過激な発言から「ブラジルのトランプ」と呼ばれ、トランプ大統領とは良好な関係を築いていました。
2022年の大統領選挙でルラ大統領に敗れた後、クーデターを企てたとして起訴され、現地メディアによると、年内にも刑事裁判が開かれるとみられています。
トランプ氏はそんなボルソナロ氏の訴追を「魔女狩りだ」と批判し、関税50%を課す理由の一部のように書いています。
ルラ大統領は猛反発しています。
「国家の独立性を損なうような干渉や脅迫を受けることはありません」
ボルソナロ氏の裁判手続きは継続するとし、関税には報復を示唆しました。
“脱米加速”トランプ氏焦り?
ブラジルに詳しい、JETRO調査部中南米班の辻本希世課長代理はこう見ています。
50%もの関税の影響はどれほどのものなのでしょうか。
アメリカが買わなくても世界中に需要があり、価格変化の影響を受けにくいコーヒー豆や鶏肉などの農産物が主要輸出品で、ブラジル全体経済への影響は小さいと見ています。
50%という途方もない数字には思惑があると指摘する専門家もいます。
「ブラジルをターゲットにして新興国に脅しをかけているのもあると思います」
7日に閉幕した中国やロシアなどからなる新興国グループ「BRICS」の会合。ルラ大統領はトランプ大統領を念頭にこう批判しました。
他国への内政干渉ともとれる行動には、トランプ大統領の焦りが見えるといいます。
「トランプ大統領としては何か矛盾ですよね。自分が関税政策をしているからどんどん諸国家が離れていって脱ドル脱アメリカの動きが加速しているのに、それを関税で抑えようとしてる」
「(新関税期限の)8月1日に向けてひょっとしたら一番誰よりも焦っているのはトランプ大統領かもしれないですね。トランプ大統領としてはもっと強い条件を出さないとディールができないみたいな」
「なめられてたまるか」とトランプ大統領を強い言葉で批判した石破茂総理大臣。平行線をたどる日米交渉については。
(「グッド!モーニング」2025年7月11日放送分より)









