タイとカンボジアの国境地帯で係争地を巡る軍事衝突があり、タイ側でこれまでに14人が死亡しています。
カンボジア側では、民間人を含め20人以上が死亡したとみられています。
タイ側が一度停戦案を受け入れるも1時間後に撤回
領有権を争う国境地帯でタイとカンボジアの武力衝突が続くなか、カンボジアのフン・マネット首相は「停戦案に同意したものの、タイ側が受け入れなかった」と明らかにしました。
フン・マネット首相は25日、自身のSNSで、マレーシアのアンワル首相から打診された停戦案に同意したと明かしました。
フン・マネット氏によりますと、当初タイ側も停戦案を受け入れましたが、1時間後に撤回したということです。
フン・マネット氏は「武力衝突を解決する鍵は、タイ側が停戦を受け入れる真摯な姿勢を示すことだ」と主張しています。
一方、タイ外務省も声明を出し、「原則として停戦案に全面的に同意する」としたうえで、「カンボジア軍による無差別攻撃が一日中続いている」として現状では停戦に応じない考えを示しました。
■タイ軍がドローン攻撃 カンボジア軍の兵士14人死亡
国境を巡るタイとカンボジアの衝突で、タイ軍は25日にカンボジアの軍施設を攻撃したとするドローンの映像を公開しました。両国で死者が出ています。
タイ軍は、国境付近にあるカンボジア軍の武器の貯蔵庫を空爆したとする映像を公開しました。
タイメディアによりますと、ドローンによる攻撃でカンボジア軍の兵士14人が死亡したということです。
カンボジア側ではほかの地域にも攻撃があり、民間人を含め20人以上が死亡したとみられています。
一方、タイ側でもこれまでに14人が死亡、両国の緊張が続いています。
カンボジア軍がタイのコンビニを砲撃 6人死亡
タイ軍は24日、戦闘機でカンボジア軍の拠点を空爆しました。
タイ軍などによりますと、カンボジアと国境を接するシーサケート県で、24日、コンビニエンスストアにカンボジア軍からの砲撃があり、6人が死亡、10人がけがをしました。
国境地帯では朝から武力衝突が続いていて、タイ側では民家も砲撃を受けるなどし、これまでに子どもを含む12人の死亡と、43人の負傷を確認したということです。
攻撃を受け、タイ軍は「民間人を狙った攻撃は非人道的な行為だ」などと主張し、F16(エフじゅうろく)戦闘機でカンボジア軍の拠点を空爆し、破壊したと発表しました。
カンボジア側は「軍事拠点を破壊したというのはフェイクニュースだ」と応戦し、タイ側を非難しています。
国境地帯では5月以降、係争地をめぐり銃撃戦が起きるなど、両国の間で緊張が高まっていました。