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2025年8月12日 18:00

中国「抗日戦争勝利80年」 日中関係にどう影響? 反日感情高まる懸念も

2025年8月12日 18:00

中国「抗日戦争勝利80年」 日中関係にどう影響? 反日感情高まる懸念も
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 戦後80年の今年を、中国は「抗日戦争勝利80年」と位置付け、愛国心に訴えるキャンペーンを強化している。融和ムードもあった日中関係にどう影響するのだろうか?

「日本の加害」強調の映画を次々公開

 日本の外務省はホームページで「中国政府は今年を『中国人民抗日戦争勝利80周年』の記念の年としています。関連の映画の放映、行事が実施されるため、反日感情の高まりに特に注意する必要があります」と呼び掛けていて、中国はこの夏“抗日”をテーマとした映画を次々と公開している。

この夏“抗日”をテーマとした映画を次々と公開
この夏“抗日”をテーマとした映画を次々と公開

 注目の“抗日”映画は、例えば、南京事件が題材の「南京写真館」、イギリス軍捕虜を中国の漁師が救助した「東極島」、旧日本軍で、細菌兵器の開発を進めたとされる「731部隊」が題材の「731」がある。

公開日が物議されている作品も
公開日が物議を醸している作品も

 このうち公開日が物議を醸しているのが「731」だ。映画にちなんで7月31日公開予定だったが、9月18日に延期された。9月18日は満州事変の発端となった鉄道爆破事件「柳条湖事件」が起きた日だ。

 また、すでに大ヒットしているのが「南京写真館」だ。中国で先月25日に公開されると興行収入370億円を突破した。7日にオーストラリアやニュージーランドなどで、15日からは北米でも一般公開されるという。

 こうした映画を見た中国の子どもの反応がSNSに投稿されている。

 男の子は劇場内で号泣し、見終わった後には「国の恥を忘れず、中国を守ることを誓う」と発言。さらに、家に帰ると大切にしていた日本のキャラクターカードをハサミで切り刻んでしまった。

 また、ある子どもは、映画を見た後、地図に記された日本列島を必死に叩いている。

 どのような意図でこのような動画が拡散されたのかは分かっていない。

 ただ、映画の影響で反日感情の高まりが懸念されている。

中国国内ではまたも襲撃事件
中国国内ではまたも襲撃事件

 中国国内ではまたも襲撃事件が起きていて、江蘇省蘇州市では、先月31日に日本人の母と子が襲われ、母親がけがをした。翌1日、地元当局は中国人とみられる容疑者の男を確保している。

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戦勝記念日に大規模軍事パレード

大規模軍事パレードを予定
大規模軍事パレードを予定

 来月3日の戦勝記念日には大規模軍事パレードが予定されている。

 中国の国営メディア新華社通信は「中国は戦勝80周年を記念し、9月3日に軍事パレードを開催する。習近平国家主席は部隊を閲兵し、演説を行う予定だ」と伝えていて、中国は、毎年9月3日を「戦勝記念日」に制定。80周年の今年は北京で軍事パレードを開催するという。

歩み寄りも?中国の本音は…

修復基調の日中関係
修復基調の日中関係

 中国は、抗日戦争勝利をアピールする一方で貿易面などでは日本に歩み寄る姿勢をみせてきた。本音はどこにあるのだろうか?

 去年11月、石破総理と習近平国家主席が初めての首脳会談を行い、戦略的互恵関係の推進などを確認した。同じく去年11月には、中国が4年8カ月ぶりに日本人の短期滞在のビザ免除を再開。去年12月には、今度は日本が中国人のビザ発給要件緩和を表明した。

 また、6月には中国が原発の処理水の海洋放出を受け停止していた日本からの水産物の輸入を再開。ただし、福島や東京など10都県は対象外となっている。

 7月からは、狂牛病で輸入停止中の日本産の牛肉についても、再開前提の協定が発効され、輸入再開に向け協議することになった。

参院選の与党大敗に中国は?
参院選の与党大敗に中国は?

 こうしたなか、日本の参院選の与党大敗を中国はどう見ているのか。

 中国外務省の郭副報道局長は、先月21日に「日本の内政で論評しない」としつつも「戦略的互恵関係を推し進め、建設的で安定した中日関係を構築していきたい」と述べている。

緊張が続く尖閣諸島
緊張が続く尖閣諸島

 一方で、尖閣諸島では緊張が続いている。5月には中国海警局のヘリが初めて領空侵犯した。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年8月12日放送分より)

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