アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が18日、ヨーロッパの首脳も交えて、ホワイトハウスで会談を行いました。ロシアとウクライナの首脳会談の開催を目指す中で、進展はあったのでしょうか。
米欧ウクライナ首脳一堂に
ホワイトハウスで対面するのはいわくつきの会談以来約半年ぶりのこと。ゼレンスキー大統領、今度は味方も一緒です。ヨーロッパ主要国の首脳にEUやNATOの面々がついてきました。プーチン大統領をレッドカーペットで迎え、ロシア寄りの姿勢を見せるトランプ大統領。そんな超大国のリーダーを引き戻すには、とにかく褒めて機嫌を取るしかないのが国際政治の現在地です。
「プーチン大統領との対話で行き詰まった現状を打開してくれた大統領に感謝します」
「次のステップは複雑ですが、大統領が15日に道を開いてくれました」
「今日は重要な日で新たな局面を迎えました。この3年半、ロシアが対話に応じる兆候すら見られなかったのに、大統領のおかげで何かが変わり始めています」
「感謝」連発 今回は“和やか”
ヨーロッパの首脳との会合に先立って行われた米ウ2カ国での首脳会談。ゼレンスキー大統領は感謝の言葉を繰り返しました。
「ありがとうございます大統領。お招きいただいたことに加え、殺戮(さつりく)と戦争の終結に向けてご尽力いただき感謝しています」
そして、こんな場面も。
「スーツがお似合いですね」
「私もそう言ったんだ。前回、君をこきおろした記者だ」
「覚えていますよ」
激しい口論となった前回のホワイトハウスでの会談。「なぜスーツを着ないのか」と服装に物言いをつけた記者がいました。教訓を得てか今回は襟付き、黒いスーツ風の上下です。
「その件は謝ります。お似合いですね」
「あなたは同じスーツですね」
前回とは打って変わって和やかな雰囲気です。報道陣が出された後の会談では、地図を前に語り合う場面もあったようです。「ドネツク州76%」などといった文字とともにロシアに占領された地域が色塗りされています。
「非常に重要なことは、領土問題などあらゆる機微な議題は3カ国の首脳での会談でするつもりで、トランプ大統領が尽力してくれます。大統領は出席を明言していませんが、ウクライナとしてはぜひご出席いただきたい」
「両国が望むなら出席する」
プーチン氏に“直電”で合意か
プーチン大統領を交えた3者の会談は実現するのか。トランプ大統領はヨーロッパの首脳との会合を中断してプーチン大統領と電話会談をしたといいます。
「トランプ大統領がロシア大統領と電話で話し、2週間以内にプーチン大統領とゼレンスキー大統領が会談することを約束しました。会談場所は今後決められる」
ただ、実現性には疑問符が付きます。ロシア側によると、電話会談でプーチン大統領が提案したのは、トルコで行われてきた代表団による交渉の格上げのみ。これが首脳同士の会談につながるかは不明です。
『安全の保証』米も関与へ
一方で、ウクライナが求める安全の保証については進展があったとされています。
「プーチン大統領はウクライナの安全の保証を受け入れた。これは我々が検討すべき重要な点だ。欧州諸国が安全の保証の多くを担うことになるが、我々もそれを支えていく」
ゼレンスキー大統領は「安全の保証」の一部がアメリカ製兵器の購入になるとしています。ヨーロッパの資金援助で13兆円相当だといいます。戦闘終結後の再侵攻を防ぐ具体的な方法については分かっていませんが、NATOのルッテ事務総長は日本なども含む30カ国が関与する方向だとしています。
「安全の保証の詳細はパートナーによって詰められます。10日以内に文書化されるでしょう。軍隊派遣や情報共有や空海防衛など国によって形は様々です。憲法上で軍事協力できず、国内生産の財源を支援する国もあるでしょう」
ただ、いずれにせよ停戦も和平合意もロシアという相手次第です。米ロ首脳会談が行われた後も攻撃はやまず犠牲者は増え続けています。
「私たちは大統領執務室でトランプ氏にこう言いました。『プーチン氏と電話している間も、彼はウクライナを爆撃している』と。戦争に勝てると思えば交渉に応じない、そんなプーチン氏を15年間見てきた。アメリカと欧州、ウクライナの首脳は平和を望んでいます。しかし、ロシアの大統領が平和を望んでいるかは大いに疑問です」
「(ウロの)首脳会談は停戦がなければ考えられない。私は本日、停戦を改めて要求しました」
会談前 欧州首脳集結の狙い
会談に出席した欧州首脳からは、トランプ大統領を称える発言が多く見られましたが、実は会談前、ウクライナ大使館に欧州首脳らが集結し、準備会合を行っていました。ウクライナを専門に研究する神戸学院大学の岡部芳彦教授に話を聞きました。
「準備会合は、ウクライナと欧州の結束力を世界に示す狙い。ウクライナと欧州の最大の目的は、会談で“ロシア寄り”のトランプ氏をつなぎとめること。今回、決裂することなく、一定の成果があった」
具体的に会談の中身を見ていきます。停戦後にウクライナの安全をどう担保するかという【安全の保証】については、トランプ大統領は「欧州各国が多くの負担を負うことになるが、“アメリカも支援”し、非常に安全な体制を築くつもりだ」とアメリカの関与を明言。ゼレンスキー大統領も「10日以内に詳細が詰められ、文書化されるだろう」としています。
ゼレンスキー氏にとって収穫があったと言えるのでしょうか。
「大きな収穫。ゼレンスキー氏が最も望むのは『欧州軍や米軍の駐留』。今回の会談でトランプ氏は少なくとも否定をしなかった。つまり“NATO駐留に近い形の防衛ができる可能性が残せた”という意味で、大きな成果」
一方、最大の懸念となる【領土】について。プーチン大統領は“停戦”に応じる代わりに「ウクライナ東部2州の割譲」を要求していますが、今回の会談で具体的な話は出ませんでし。ただ、岡部教授は1枚の写真に注目しています。
ホワイトハウスが公開した写真には、ゼレンスキー氏とトランプ氏が話し込む側に、「ドネツク76%」などロシアの占領状況が書かれていウクライナの地図があります。
「領土についての具体的な議論が行われたと解釈できる。プーチン氏が要求する領土割譲を正確にゼレンスキー氏に伝えていることを示す。交渉準備を整えたことを示し、プーチン氏にウクライナとの会談実現を促す狙いがあるのでは」
また、ゼレンスキー大統領は「領土についてなど、デリケートな問題はウクライナ・ロシア・アメリカの3カ国首脳会談で話し合うべきだ」としています。
「ゼレンスキー氏の“領土は絶対に譲らない”というスタンスは今も変わらないが、プーチン氏を交渉のテーブルにつかせるため、柔軟な姿勢を示す表現をあえてしたのでは」





























