フランスの国民議会で、財政立て直しのための予算案を巡るバイル首相の信任投票が反対多数で否決され、内閣は総辞職しました。日本経済への影響も心配されます。
首相交代でも方針変わらず
投票に先立つ演説でこう訴えた、フランスのバイル首相。深刻な財政赤字を受け、今年7月にバイル首相はおよそ440億ユーロ=日本円で7兆6000億円規模の歳出削減や増税などを盛り込んだ予算案を提案しました。
年金支給額の凍結や祝日を2日削るなど、国民の負担を伴う内容が盛り込まれていたことから野党は強く反発。バイル首相は、予算案の是非を問うため、信任投票の実施に踏み切りました。
「このままでは現実はどうにもならず、支出はさらに増え続け、すでに耐えがたい債務の負担はさらに重く高くつくでしょう」
投票前の演説で、予算案への支持を呼びかけましたが…。
「賛成194票。反対364票。首相は共和国大統領に辞表を提出しなければなりません」
信任投票は反対多数で否決。バイル内閣はわずか9カ月で総辞職する運びとなりました。
日本と同じく、少数与党による政権運営が続くフランス。首相が退陣するのは去年1月以降、4度目となります。
「首相が辞任したことは予想通りでした。当然の結果です。フランスはすべてがめちゃくちゃです。フランスは哀れな国です」
総辞職に伴い、マクロン大統領はルコルニュ国防相を新首相に任命。ただ、フランスでは大統領が国のプランを決め、首相がそれを実現する役割を担っているため、大統領が交代しない限り国の方針が大きく変わることはありません。
ヨーロッパでも経済の低迷などから政治不信が高まっていて、2020年以降、イタリアとドイツでは3回、イギリスでは4回と首相の交代が相次いでいます。
日本 国債利回りへの影響も
フランスには830社以上の日本企業があり、3万7000人以上の在留日本人がいますが、影響はないのでしょうか。
フランス政府公認ガイド・鈴木翔太氏に話を聞くと、このような声が聞かれました。
政治への不満からストライキが相次ぎ、日常生活にさまざまな支障が出る恐れがあるといいます。さらに、今後はフランスを訪れる日本人観光客にも影響が及ぶ可能性があります。
また、政治的混乱と財政再建への失望からフランス国債の利回りは大きく上昇していて、日本の国債利回りへの影響も懸念されています。
(「グッド!モーニング」2025年9月10日放送分より)