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グッド!モーニング

2025年9月10日 11:58

フランス首相不信任で政権崩壊 9カ月で内閣総辞職 大統領に野党反発 観光影響か

フランス首相不信任で政権崩壊 9カ月で内閣総辞職 大統領に野党反発 観光影響か
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 フランスの国民議会で、財政立て直しのための予算案を巡るバイル首相の信任投票が反対多数で否決され、内閣は総辞職しました。日本経済への影響も心配されます。

首相交代でも方針変わらず

「皆さん、内閣を倒すことはできても現実を無視することはできません」
深刻な財政赤字を受け…
深刻な財政赤字を受け…

 投票に先立つ演説でこう訴えた、フランスのバイル首相。深刻な財政赤字を受け、今年7月にバイル首相はおよそ440億ユーロ=日本円で7兆6000億円規模の歳出削減や増税などを盛り込んだ予算案を提案しました。

 年金支給額の凍結や祝日を2日削るなど、国民の負担を伴う内容が盛り込まれていたことから野党は強く反発。バイル首相は、予算案の是非を問うため、信任投票の実施に踏み切りました。

バイル首相
「このままでは現実はどうにもならず、支出はさらに増え続け、すでに耐えがたい債務の負担はさらに重く高くつくでしょう」

 投票前の演説で、予算案への支持を呼びかけましたが…。

ブロンピベ国民議会議長
「賛成194票。反対364票。首相は共和国大統領に辞表を提出しなければなりません」
信任投票は反対多数で否決
信任投票は反対多数で否決

 信任投票は反対多数で否決。バイル内閣はわずか9カ月で総辞職する運びとなりました。

 日本と同じく、少数与党による政権運営が続くフランス。首相が退陣するのは去年1月以降、4度目となります。

フランス国民
「首相が辞任したことは予想通りでした。当然の結果です。フランスはすべてがめちゃくちゃです。フランスは哀れな国です」
マクロン大統領
マクロン大統領

 総辞職に伴い、マクロン大統領はルコルニュ国防相を新首相に任命。ただ、フランスでは大統領が国のプランを決め、首相がそれを実現する役割を担っているため、大統領が交代しない限り国の方針が大きく変わることはありません。

ヨーロッパで首相交代相次ぐ
ヨーロッパで首相交代相次ぐ

 ヨーロッパでも経済の低迷などから政治不信が高まっていて、2020年以降、イタリアとドイツでは3回、イギリスでは4回と首相の交代が相次いでいます。

日本 国債利回りへの影響も

 フランスには830社以上の日本企業があり、3万7000人以上の在留日本人がいますが、影響はないのでしょうか。

 フランス政府公認ガイド・鈴木翔太氏に話を聞くと、このような声が聞かれました。

影響は?
影響は?
「今後は鉄道のダイヤが乱れることから始まって、そのうちに学校が閉まったり、あるいはお店などが閉まったり。公務員にも労働組合がありますから、彼らがストに乗ってしまうと役所も閉まってしまう。そうなると例えば滞在許可証ですね。ビザの更新だとか、そういった業務でも支障がでることは十分考えられる」

 政治への不満からストライキが相次ぎ、日常生活にさまざまな支障が出る恐れがあるといいます。さらに、今後はフランスを訪れる日本人観光客にも影響が及ぶ可能性があります。

日本人観光客にも影響が及ぶ可能性
日本人観光客にも影響が及ぶ可能性
「ルーブル美術館なんかもセキュリティースタッフがストを起こしてしまうと、ゲートが封鎖されて、入場できるはずだった美術館に入場できない。日本からの団体さんのパック旅行ですと、もう日程が決まっているので、他の目的地を探していただくしかない」

 また、政治的混乱と財政再建への失望からフランス国債の利回りは大きく上昇していて、日本の国債利回りへの影響も懸念されています。

(「グッド!モーニング」2025年9月10日放送分より)

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