トランプ政権の立役者ともいわれる右派団体の活動家、チャーリー・カーク氏(31)が10日、銃撃され死亡しました。容疑者はまだ捕まっていませんが、すでに左派を非難する声が高まっていて、アメリカ国内の分断がさらに広がっています。
トランプ氏再選の立役者死亡
ユタバレー大学のキャンパスで行われたイベント。観客が会場を埋め尽くすほどの人気でした。「アメリカを再び偉大に」のMAGA帽子を投げて配る姿はまさにトランプ大統領さながらです。盛り上がりは1発の銃弾で暗転します。騒然となり逃げ惑う人たち。カーク氏は搬送されたものの死亡が確認されました。
カーク氏は去年の大統領選で若者票を掘り起こし、トランプ氏再選に導いた立役者とされています。
「民主党は不法移民や諸外国に数千億ドルをバラまいてきたのに、Z世代はぎりぎりの生活で家も買えず、独身のまま働きづめで、子どもも持てません。これまで以上に力を合わせて、皆でバイデン・ハリス体制を倒して、トランプ氏をホワイトハウスに返り咲かせましょう」
政権入りはしないものの、フロリダの邸宅に度々出入りし、会議にも参加するほどの人物でした。トランプ氏が購入構想を打ち出したグリーンランドには、息子のジュニア氏と同行までしています。
「チャーリー・カークはTikTokが役立ったと言うが、彼自身も役立った。よくやってくれた。おかげで若者の得票では37%も差をつけた」
そんな“恩人”の死。すぐさまビデオ声明を発表しました。
「ユタ州の大学構内で起きたチャーリー・カーク氏の凶悪な暗殺事件に悲しみと怒りを覚えている。彼は自由、民主主義、正義、国民のために戦い、真実と自由の殉教者となり、若者から誰よりも尊敬された人物だ」
ホワイトハウスに掲げられた半旗。1人の民間人としては異例の扱いです。
右派団体を創設 銃規制に反対
つい先日、来日し、参政党のイベントで神谷代表と対談したカーク氏。右派の青年団体を創設したのは18歳のころでした。大学のキャンパスで討論会を開き、反リベラルの主張を繰り返してきました。例えば、多様性や公平性といったDEIの価値観について。
「DEI政策の実情は、異性愛者の白人男性を積極的に差別して、制度から締め出す荒療治と言えます」
移民については。
「私独自の考えですが、同化を伴わない移民は侵略です。移民は我々が寛大なのを良いことに、我々をさげすんでばかり」
銃規制に反対で、かつてこんな発言も。
「残念ながら毎年銃による死者が出るが、その代償を払う価値はあるはずだ。憲法修正第2条(銃を持つ権利)で、神より与えられし他の権利を守れるのだから」
命を落とすこととなったのは、討論会でまさに銃犯罪について話している時でした。
映像に人影 屋上から発砲か
誰が彼を狙ったのか。一時、2人が拘束されたものの、事件に無関係として釈放されています。
「発砲は1発。被害者は1人。容疑者は逃走中です。これは特定の個人を狙った攻撃とみています」
銃撃で人々が一斉にかがんだ瞬間、建物の屋上に動く人影らしき姿が見えます。カーク氏がいたのはキャンパスの中庭。銃弾は180メートルほど離れた建物の屋上から放たれたとみられています。犯人は逃走中。どんな考えや動機を持つ人間か何一つ判明していません。
さらなる“分断”広がりに危惧
トランプ氏に近い右派活動家が殺されたことで、分断がさらに広がっています。
「カーク氏とご家族に祈りを捧げるため、ご起立願います」
黙とうが終わると、ざわつき始める議場。
「何か言いたいことが?」
「黙とうは何も生みません。カーク氏とご家族に祈りの言葉を発するべきでは」
「事件はお前らのせいだ」と叫んだのはカーク氏と親しかった共和党のルナ下院議員。
「カーク氏が殺されたのは民主党の発言のせいです。民主党が『ファシスト』や『人権を奪うナチス』呼ばわりしたから」
犯人は何者なのか全く分かっていません。それなのにトランプ大統領もこう決めつけています。
「極左による政治暴力で、罪のない多くの人が傷付き、多くの命が奪われた。極左は長年、カーク氏のような素晴らしいアメリカ国民を、ナチスや世界で最も凶悪な大量殺人犯になぞらえてきた。この比喩こそ、国内テロの直接の原因。直ちに止めなければならない」
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