「全てを封鎖せよ」SNSでの呼び掛けをきっかけに、フランスで20万人規模のデモが起きました。市民の怒りの矛先は少数与党の政府。わずか2年足らずの間に4回も首相が代わるなど、政治の混乱が続いています。
路上のあちこちで煙が上がり、走って逃げる人たち。高校のすぐ近くでは催涙ガスがまかれ、ごみ箱が燃やされました。レストランでは火災が発生。警察の投げ入れた催涙弾が出火原因とみられています。
こうした激しいデモの背景にあるのは、政権への強い不満です。
「正統性なき政権を阻止するために来た」
深刻な財政赤字に陥っているフランス。立て直しに向け、バイル前首相が打ち出した予算案には「年金支給額の凍結」など約440億ユーロ(7兆6000億円)の歳出削減に加え、「2つの祝日の廃止」といった内容が盛り込まれ、国民が反発しました。
「全てを封鎖せよ」というスローガンのもと、SNSで呼び掛けられ、20万人規模で行われた反政府デモ。これまでに675人が拘束され、警察官34人がけがをしています。一部が、バスに火をつけるなど暴徒化したほか、パリ近郊にあるAmazonの物流センターでは配送を止めようと、従業員らが周辺を囲みました。
「生活費で苦しむ社員は多いです。車中泊の人もいます。家がないのです」
日本と同じく少数与党に苦しむフランスでは、わずか2年足らずの間に首相が4回交代。デモ当日には新たな首相が就任したばかりです。国が抱える大きな課題は「物価高」や「社会保障費の増大」など、日本と重なる部分も。ただ、ルコルニュ首相も財政再建路線を継承するとみられ、国民の不満は収まりそうにありません。
「マクロン大統領と政権が耳を傾けないから抗議しています。まったく聞く気がありません」
大統領が首相の指名を行っているフランス。国の方針を決めるのは大統領のため、マクロン大統領が代わらない限り、方向性が大きく変わることはありません。新首相就任の日と重なった抗議活動。18日にも再び大規模な反政府デモが呼び掛けられています。
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