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2025年9月12日 18:00

「MAGA」派で“分断の象徴”トランプ氏の盟友銃撃死 アメリカで繰り返される暗殺事件

「MAGA」派で“分断の象徴”トランプ氏の盟友銃撃死 アメリカで繰り返される暗殺事件
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 トランプ大統領の“盟友”とされる保守系活動家チャーリー・カーク氏が、銃撃され死亡した。

FBI 容疑者の画像公開

 このカーク氏銃撃事件の“犯人”とみられる画像が公開された。

 治安当局が11日に公開したのが2枚の画像。黒の長袖シャツとズボン、帽子を着用し、サングラスをかけた男の姿が映っている。犯人は大学生くらいの年齢で、カーク氏を狙撃した後、屋根から飛び降りて逃走したという。

 また、近くの森からは高性能ライフルが押収されたということで、ウォールストリート・ジャーナルによると、未使用の弾丸3発にはトランスジェンダーを擁護する文言と反ファシズム思想の文言が刻印されていたと伝えている。

トランプ氏の盟友 カーク氏とは?

トランプ氏の盟友 カーク氏とは?

 銃撃されたカーク氏は、まだ31歳だった。アメリカで最も知名度の高い若手保守活動家の一人だった。「USAトゥデイ」によると、妻エリカさんは、元ミス・アリゾナUSAだ。

 シカゴ郊外の裕福な地域の出身だといい、父親は建築家で、2012年の大統領選挙の際、共和党大統領候補・ロムニー氏の大口の資金提供者だったという。

 そのカーク氏は、「BBC」によると、18歳だった2012年に保守系の青年団体「ターニング・ポイントUSA」を設立した。各地の大学などで討論会を開くなどして支持を広げ、現在、大学に850以上の支部を持つまでに成長した。

 SNSのフォロワーはTikTokが複数のアカウントで1000万人以上、Xが500万人以上と、若者を中心に高い人気を誇っていた。

トランプ氏を陰で支えたキングメーカー?

トランプ氏を陰で支えたキングメーカー?

 さらに、カーク氏はトランプ大統領の盟友だったという。トランプ氏の支持基盤である「MAGA(マガ=米国を再び偉大に)」派の代表格だった。

 朝日新聞によると、2020年の大統領選でトランプ氏が敗北し、多くの支援者が離れていくなか、カーク氏は、フロリダの邸宅マー・ア・ラゴに姿を見せ、トランプ氏の強い信頼を勝ち取ったという。

 そして、ロイター通信によると、去年の大統領選では、若者の共和党支持層の掘り起こしに貢献し、トランプ氏の返り咲きに重要な役割を果たした。いわば「キングメーカー」だったとも言える存在だった。

 さらに、ニューヨーク・タイムズによると、2期目の閣僚選びでは、トランプ氏への忠誠心を審査し、候補の適性をみる側近団の一人だったとされている。

 トランプ氏の長男・ジュニア氏とも親しく、トランプ氏が購入構想を打ち出したグリーンランドをジュニア氏が訪問した際にもカーク氏が同行していた。

分断を象徴する人物

分断を象徴する人物

 そして、アメリカの分断を象徴するような人物だったとも言われている。

 カーク氏は、トランプ政権のイスラエル政策を擁護していた。「ユダヤ人への憎悪は市民社会に存在すべきではない。それは脳を腐らせる。拒絶せよ」などとSNSに投稿していた。

 また、自身の団体のホームページでは、「保守的な学生を差別し、左翼的なプロパガンダを進める大学教授を摘発する」とし、“リベラル教師狩り”とも言える「プロフェッサー・ウォッチリスト」を公開していた。

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民主主義国家アメリカの現実…“政治的暴力”

民主主義国家アメリカの現実…“政治的暴力”

 アメリカで相次ぐ政治的暴力。政治家や活動家の暗殺や暗殺未遂がこれまで繰り返されてきた。

 記憶に新しいところでは、去年だけでも2度、トランプ氏の暗殺未遂事件があった。

 7月には東部ペンシルベニア州で、大統領選挙の支持者集会中にトランプ氏が銃撃され、右耳に被弾している。聴衆1人が死亡するなど、このとき4人が死傷した。そのほか、容疑者も死亡している。

 去年9月には南部フロリダ州でゴルフをプレーしていたトランプ氏を、男が銃を持って待ち伏せする事件が発生している。この際は自動小銃AK47のほか、銃撃の瞬間を撮影する意図があったのか、小型カメラも押収された。

 そうしたなか、シカゴ大学が去年9月に行ったアンケート調査では「ドナルド・トランプが大統領になるのを阻止するためなら、暴力の行使は正当化できるか」という問いに、4.4%が「同意する」、3.8%が「強く同意する」と回答していて、およそ12人に1人が、暴力行使に同意するとの考えを示した。

アメリカ史の中の暗殺劇

アメリカ史の中の暗殺劇

 では、過去には、どのような暗殺事件があったのかー。

 1960年代、アメリカで起こったのが「公民権運動」だ。アフリカ系住民を中心に人種差別制度の撤廃を要求するというものだった。この時代には、ケネディ大統領、公民権運動の指導者・キング牧師、そして、ケネディ大統領の弟であるロバート・ケネディ氏といったリベラル派の政治家や指導者の暗殺が相次いだ。

 また、現職大統領は、これまでリンカーン氏(第16代)、ガーフィールド氏(第20代)、マッキンリー氏(第25代)、そしてケネディ氏(第35代)と4人が暗殺されている。さらに、セオドア・ルーズベルト氏やレーガン氏などをねらった暗殺未遂事件もこれまでに起きている。

トランプ大統領 4分間の声明で…

トランプ大統領 4分間の声明で…

 そしてまた繰り返された暗殺事件。トランプ大統領は、カーク氏の死を受けて発表した4分間の声明の中で、カーク氏を「真実と自由のための殉教者」、暗殺犯を「アメリカ全土を攻撃した怪物」と表現している。そのうえで「暗殺犯は、銃弾によってカーク氏を黙らせようとしたがしくじった」「この凶悪な事件があったことで、カーク氏の声はかつてないほど偉大なものとなった」と述べた。

カーク氏 参政党のイベントに出席

参政党の神谷宗幣代表(左)とカーク氏(右)
参政党の神谷宗幣代表(左)とカーク氏(右)

 暗殺されたカーク氏は、先週、来日したばかりだった。カーク氏は7日に東京都内で開かれた参政党のイベントに参加。講演を行い、「若者の政治参加」や「グローバリズムとの向き合い方」などについて語った。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年9月12日放送分より)

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