国際

ABEMA NEWS

2025年9月17日 11:31

失業バレたくない…「出勤偽装サービス」とは?社長室を借りて「偽装経営者」をする人も 就職難の中国で大盛況

失業バレたくない…「出勤偽装サービス」とは?社長室を借りて「偽装経営者」をする人も 就職難の中国で大盛況
広告
1

 中国で一風変わった新ビジネスが話題を呼んでいる。                     

【映像】レンタルできる社長室の様子

 中国の人気口コミアプリを検索すると、「たったの1000円を払えば偽装出勤有限会社に入社可能」「Wi-Fi、パソコン、プリンター、ウォーターサーバーなどオフィス設備が充実し、軽食や飲み物、昼食まで提供!」といった内容が並ぶ。

 このサービスは「偽装出勤」といい、出勤しているように装ってくれるというもの。「唯度空間(ウェードゥコンジェン)」という会社が提供しており、このビジネスを始めて数年経つが、2024年から利用者が殺到している。使用料は1日(8時間)およそ1000円〜で、初回は100円から体験が可能だ。

 ABEMA的ニュースショーでは、偽装出勤サービス「唯度空間」の呉永涛社長に取材を実施。呉社長はこのサービスについて「外資企業や民間企業にリストラされたけど、家族にバレたくない人が、有意義に過ごす場所」と説明した。利用者については「オンライン面接している人や、履歴書を書いて送る人、SNSでコンテンツを発信し始めた人もいる」と語った。

 このビジネスの背景には、中国の深刻な就職難がある。2026年卒大学生の就職内定率が過去最高94.8%に達した日本に対し、中国は就職氷河期と言われ、2025年7月の若者(16〜24歳)の失業率は17.8%と、日本の4倍以上(日本の15歳〜24歳の失業率の4.10%)に達している。このような状況の中、「偽装出勤」の需要が徐々に拡大した。

 失業を家族に知られたくない人が出勤したフリをして外出するのは、日本でも聞く話だが、なぜカフェや図書館ではなく、わざわざ偽装出勤会社を利用するのか。呉社長は「コーヒーを飲みに来るのではなく、仕事をする気持ちで来る。図書館にも人はたくさんいるけど、仕事している人はほぼいない。(うちに来ることは)職場感覚なので、カジュアルな感じではない」と語る。

 正規の仕事はないはずだが、それでも会社に似た空間で仕事をしている感覚が維持できる。現実逃避ではなく、あくまでも次のステップにつなげる前向きな環境が人気の秘密であり、中国の若者のマインドにマッチしているという。

 呉社長は「正直偽装というより、すぐバレるから、『職場』という環境に身を置いておきたいのが一番大きい」と明かす。加えて「いま中国の若者は怠け者より、成功のチャンスを探したい人が多い。偽装出勤会社に来て、落ち着いて集中的にひとつのことを成し遂げる。面接でも新しい事業にチャレンジしても」との見方を示した。

 さらに「社長室を借りる人もいる。今は予約ですべて埋まっている。部屋からの眺めも良い」という。「社長室しか借りてないのに、会社全体も自分のものに偽装して、私達スタッフも彼の社員のフリをしてあげて、彼のメンツを保つ」と説明した。

 同じ就職氷河期を過ごしたという中国出身の番組スタッフは、このビジネスについて「気持ちがすごくわかる。やっぱり前向きな気持ちでいたいし、見栄を大事にする中国人も多い」と共感を示した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

広告