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報道ステーション

2025年9月18日 01:44

前大統領夫人の不正疑惑めぐり…旧統一教会・韓総裁が出頭 今後の捜査の行方は

前大統領夫人の不正疑惑めぐり…旧統一教会・韓総裁が出頭 今後の捜査の行方は
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旧統一教会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(82)が17日、韓国の特別検察官の事務所に出頭しました。

午前9時半過ぎ、韓国特別検察官の事務所が入るビルの入口についた黒いバン。男性に手を添えられ、ゆっくりと車から降りてきました。差し出された傘の下を歩いていきます。

韓鶴子総裁(82)

韓総裁は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻・金建希(キム・ゴンヒ)被告に高級ネックレスやバッグを贈り、政府から海外事業への援助などを受けようとした事件に関与したとみられています。

国会議員の権性東氏

金氏の疑惑をめぐっては、尹錫悦氏の側近で、国会議員の権性東(クォン・ソンドン)氏が、17日未明、逮捕されました。旧統一教会から違法な政治資金を受け取った疑いが持たれています。

特別検察官

特別検察官は、これまで任意の取り調べのため、3回にわたって、韓総裁に出頭を求めてきましたが、心臓の手術を受けたあと、回復が思わしくないなどの理由で韓総裁はすべて拒否してきました。

韓鶴子総裁
韓鶴子総裁
「(Q.なぜ一方的に出頭の日を決めた)体調がよくなかったからです。手術して具合がよくなかった」

韓国の連合ニュースは、特別検察官に身柄を拘束されることを避けるため、自ら出頭したのではと報じています。

特別検察チーム
特別検察チーム(ブリーフィングより)
「被疑者が、特検の3回にわたった召喚情報に応じず、任意で自分が望む日時を選んで、特検と協議なく、一方的に出頭したため、行われるようになった。被疑者が準備した救急車が地下で待機している。陳述拒否権は行使せず、陳述している」
関連施設などの捜索

韓総裁をめぐっては、7月以降、特別検察官が教団の関連施設などの捜索を続けてきました。

ユン・ヨンホ氏
旧統一教会の主張

教団へ便宜を図る見返りに、金被告に高級ネックレスやバッグを贈ったとして、旧統一教会の元幹部であるユン・ヨンホ氏が、すでに逮捕されています。一方、教団側は、ユン氏の個人的な逸脱行為で、韓総裁の指示はなかったと主張しています。

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創立者・文鮮明氏

旧統一教会、世界平和統一家庭連合のトップである韓総裁。
創立者・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の妻で、文氏が2012年に亡くなったあと、教団を率いてきました。

旧統一教会に解散命令

日本では、信者の一家離散や自己破産といった被害につながる高額献金などの問題を受けて、今年3月、東京地裁が解散を命じた旧統一教会。命令を不服とした教団側が、即時抗告をしています。

日本での状況とは対照的に、韓国では、いまも盤石な基盤を維持しています。

教団施設『天苑宮』

教団本部がある韓国・加平(カピョン)。
4月に大規模な式典が行われました。
『白亜の宮殿』ともされる教団施設『天苑宮』のオープンを祝うもので、総工費は約500億円ともいわれています。建設のために、日本での献金も強化されていました。

約90カ国 男女5000組

合同結婚式では、約90カ国から集まった男女5000組が夫婦となり、日本からは会場に1200人が参加しました。

統一教会

統一教会は、韓国では、カルト集団とみなされている一方、多角的なビジネスを展開する集団としても知られています。

資産は約3200億円

旧統一教会が運営する財団は、食品・メディア・リゾート開発・旅行など、多岐にわたる企業の資金を管理していて、総資産は約3200億円とみられています。

特別検察官は、巨額の資産を持つ財団を捜査することで、旧統一教会の資金の流れなどを追跡するとみられます。

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◆韓国の国民はどのように受け止めているのでしょうか。ソウル支局の岩本京子記者に聞きます。

岩本京子記者
岩本京子記者
「韓国内でも、朝から高い関心を持って報道されました。旧統一教会は、韓国内では、日本と同じようにカルト宗教というイメージが強いです。ただ、献金をしている信者の人数は1万9000人ほどで、これは日本の10分の1以下という数字もあり、日本での知名度の方が高いといえそうです。というのも、韓国内では、これまで統一教会が絡む大きな事案がなかったので、そもそも旧統一教会に対するイメージというのがそこまで強くありませんでした。しかし、今回、尹政権との癒着疑惑が明るみに出たことで、政治にも介入していたんだと驚きをもって受け止められました。尹政権と教団の癒着に韓総裁がどの程度関与したのか、この関与の具合というのが焦点となります」
岩本京子記者

(Q.そもそも教団側は、尹政権に近づいたとすれば、それはどういうところからなのでしょうか)

岩本京子記者
「旧統一協会は、金品を渡す見返りとして、大統領就任式への招待や、テレビ局の買収など、さまざまな便宜を図ってもらおうとしていたことが、これまでの関連した裁判で明らかになっています。こうしたことからも、教団が広範囲で影響力を波及させようとしていたということがうかがえます」
岩本京子記者

(Q.今後の捜査の行方はどうなりそうでしょうか)

岩本京子記者
「特別検察官は、今後の逮捕状の請求について、再び聴取に応じなかった場合、聴取を必要になった場合に呼び出しに応じなければ検討するというふうにしています。17日の取り調べで、聴取がどれほど進んだのかというのは明らかになっておらず、今後、再び聴取が行われるのか、あるいは場合によっては逮捕に踏み切る可能性もあるといえます」
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