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2025年9月24日 18:00

ロシア国内で燃料不足が深刻化 ウクライナの大規模ドローン攻撃が原因か

ロシア国内で燃料不足が深刻化 ウクライナの大規模ドローン攻撃が原因か
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 ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア国内の多くの地域で燃料不足が深刻化するなど、国民生活に影響が出ている。その理由はウクライナによる大規模なドローン攻撃だった。

産油国ロシアでガソリン不足

 世界有数の産油国であるロシアに異変が起きている。

 ウクライナのシンクタンク「ウクライナ安全保障・協力センター」のクザン会長によると、ロシア国内の燃料価格が約25%上昇しているということだ。

 また米誌「フォーブス」によると、闇市場でしかガソリンを入手できない地区も多発しているといい、そうした闇市場では1リットルあたり日本円で約350円(=日本の約2倍の価格)で取引されており、平均月収が約18万円のロシア国民にとっては重い出費となっているという。

ウクライナのドローン攻撃が原因か

ウクライナから製油所へ ドローン攻撃が激化
ウクライナから製油所へ ドローン攻撃が激化

 ではなぜ燃料不足に陥っているのか?その原因はウクライナによるドローン攻撃にあるという。

 ロシア国防省は、13日夜から14日にかけて、ウクライナからドローンによる大規模攻撃が行われたと発表した。

 「ロイター通信」は当局者の話として、この攻撃の標的には「キリシ製油所」というロシア北西部に位置する、ウクライナ国境から1300キロ以上離れた製油所も含まれていると伝えている。

 ここはロシア2大製油所の一つで、ロシア全体の6.4%に相当する年間約1770万トンの原油を精製している施設だといい、ウクライナ軍は製油所への攻撃が成功したと主張している。

 こうした石油施設への攻撃は増えており、ロシアのインターネットメディアによると、今年の初めから少なくとも25の製油所が空襲の被害を受け、ここ1カ月半でロシアの製油能力の43%を占める施設がドローンの攻撃を受けたという。

 なぜウクライナはロシアの石油施設を攻撃するのか?「フォーブス」によると、製油所を狙うのはロシアの軍事費の財源を締め上げ、既に逼迫(ひっぱく)しているロシア経済にさらなる圧力を加えるためだという。

ウクライナ侵攻が始まって以来最低水準に
ウクライナ侵攻が始まって以来最低水準に

 そして、こうした攻撃は実際にロシア経済にダメージを与えているという。

 国際エネルギー機関の発表では、先月のロシアの石油・燃料輸出量は日量で約730万バレルで、これは前の月と比べて7万バレルの減少で、ロシアの原油・石油製品の販売収入はウクライナ侵攻が始まって以来最低クラスの水準となったという。

国民生活に影響 停戦を求める声も

 ロシア経済の悪化は国民生活に影響をもたらしているという。

ロシア国民も不満の声が…
ロシア国民も不満の声が…

 ロシアメディア「イズベスチヤ」によると、ロシアの個人ローン延滞額が総額で約2兆8000億円に上り、統計を取り始めてからの6年間で最も高い額になったという。

 ウクライナのドローン攻撃による燃料不足や生活苦が深刻になるなか、ロシアの独立系世論調査機関「レバダセンター」の先月の調査では「和平交渉に移行すべき」と回答した人が66%と過去最高だった。

 その一方で「軍事行動の継続を支持する」と回答した人は27%で過去最低で、停戦を望む声が広がっている。

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プーチン氏が側近解任 コザク氏とは?

 そんななか、クレムリン内でも大きな動きがあった。プーチン大統領の最側近とも言われる人物が突如、解任されたという。

プーチン大統領が最側近を解任
プーチン大統領が最側近を解任

 「ロイター通信」によると、プーチン大統領がコザク大統領府副長官を解任したことが18日に出された大統領令で分かったという。

 ロシアメディア「RBK」などによると、コザク副長官は対外地域・文化交流局と対外協力局の2つの部署を監督していたが、先月末にプーチン大統領は、この2つの部署を廃止する大統領令に署名していて、政権内で居場所を失いつつあるとも報じられていた。

 ではこのコザク副長官とはどういった人物なのか?「ニューヨーク・タイムズ」などによると、プーチン氏の最側近とされており、1999年にプーチン氏が首相に就任した際、コザク氏を首席補佐官に指名したという。

 これまでにチェチェン共和国対策やソチオリンピックの準備、ウクライナ対策など、ロシアにとって難しいとされる課題を率先して担当し、プーチン氏の懐刀とされてきたという。

解任の理由は謀反?
解任の理由は謀反?

 では解任の理由は何だったのか?

 「ニューヨーク・タイムズ」は、コザク副長官がプーチン大統領にウクライナ全面侵攻が始まる前から開戦には反対していたといい、こうした態度がプーチン大統領に謀反と受け取られたのではないかとも報じられている。

 また拓殖大学・客員教授の名越健郎さんによると、コザク副長官は、去年と今年も個別にプーチン大統領と会い戦闘の停止や和平交渉の開始などを直訴していたという。

異例発言 後継者問題に言及

 そんななか、プーチン大統領が公の場で「後継者」に言及した。さらには、年末に退陣表明するのではとの見方も出ている。

プーチン大統領が後継者に言及
プーチン大統領が後継者に言及

 18日、プーチン大統領は議会の各派幹部との会談で「祖国に奉仕し生命と健康を危険にさらす覚悟のある人物を発掘し、指導的地位に登用すべきだ。こうした人物が後継者になる」と異例ともいえる発言を行った。

 同じく18日、西側諸国も注目しているというクレムリンの内情に詳しいSNSアカウント「SVR将軍」がこのプーチン大統領の発言を解説している。

この発言についてSVR将軍も発信
この発言についてSVR将軍も発信

 「(年末恒例の)大規模な記者会見とプーチン氏との『直接対話』の準備が着々と進められている。プーチン政権の成果が特に称賛されると同時に、若い世代に道を譲るべきだと表明するだろう。つまり時が来たというわけだ。その後、政権の全面的な刷新を伴う移行の最終段階に関する声明が発表される予定だ」としている。

プーチン大統領の今後については
プーチン大統領の今後については

 さらに、プーチン大統領の今後について「プーチン氏は、憲法裁判所の長官として、引き続きすべてを見守り、監視していくことも強調するだろう」

 そして「同日プーチン政権は総辞職し、その後、後継者が発表される予定だ」と発信している。

■トランプ氏×ゼレンスキー氏 首脳会談 内容は?

 トランプ大統領とゼレンスキー大統領が首脳会談を行った。約1時間にわたる会談だったという。

トランプ氏・ゼレンスキー氏 首脳会談
トランプ氏・ゼレンスキー氏 首脳会談

 アメリカのトランプ大統領は23日、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談を行った。「ロイター通信」によると、ゼレンスキー大統領は会談冒頭、記者団に「アメリカそしてヨーロッパ各国による(ロシアに対する)さらなる圧力と制裁が必要だ」と語ったという。

 またトランプ大統領は会談の終了後、自身のSNSに「EUやNATOの支援があれば、ウクライナは領土を取り戻す戦いに勝ち、ロシアに侵攻される前の本来の国境を回復することは十分に可能だ」と投稿している。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年9月24日放送分より)

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