東アジアを襲った猛烈な台風が深刻な被害をもたらしています。台湾東部では山間部の湖が決壊し、これまでに17人が死亡しました。この台風が接近する中国広東省では189万人が避難する事態となっています。
観測史上最大級の暴風雨。住宅街に流れ込んだ濁流は、あっという間に1階をのみ込みます。街路樹は倒れ、車は流され、逃げる人をがれきを巻き込んだ水が追い掛けてきます。
日本周辺にある3つの台風。このうちの18号が猛烈な勢力でフィリピンや台湾を襲い、中国大陸に向かっています。フィリピンに接近した時点では最大瞬間風速80メートルを超えていて、1万人以上が避難しました。
「本当に怖かった。まるで世界の終わりみたい。見上げないと分からなくて、津波なのかと」
被害は内陸部にも。台湾で最も被害が大きかった花蓮県では、大雨で山間部の湖が決壊。生き物のように暴れる黒い濁流が交通の大動脈を破壊しました。
決壊した湖は、水が堰き止められてできる堰止湖です。地元メディアによると去年4月、マグニチュード7.2の地震で山の地形が変化し、今年7月の台風6号による大雨と土砂崩れでできたもの。そこに24時間で500ミリを超える雨が降り、災害がまた重なりました。
「あっという間に水がきた」
流れ出した水は6000万トンに上り、まだ2300万トンが溜まっていて、警戒が必要です。17人が亡くなり、連絡が取れない17人の捜索が続いています。
「夫と息子は母を助けに行ったが、溺れそうになった」
犠牲者の多くは逃げ遅れた高齢者です。
「川がまるで津波のようだった。早めに避難してよかった。20分遅れたら逃げられなかった」
くっきりした目を保ったまま、ゆっくり自転車並みのスピードで猛威を振るう台風18号。まもなく中国大陸に上陸する見込みです。香港では一時、最高レベルのシグナル10が発令されました。
「香港ではここ数年で最強の台風でした」
直撃する可能性が高い中国広東省。1億2000万人の人口を抱えるこの街でも警戒が強まっています。すでに大規模な避難所が複数設営され、これまでに189万人が避難しています。