アメリカのトランプ大統領が国連総会で演説を行い、「戦争解決に貢献していない」などと国連を厳しく批判した。創設から80年。国連の存在意義が問われている。
トランプ大統領「戦争解決に貢献していない」
23日、国連総会で一般討論演説を行ったトランプ大統領。演説はおよそ1時間にわたった。そのなかで、「わずか7カ月の間に私は7つの終わりなき戦争を終わらせた」と自画自賛する一方で、「国連がやるべきことを私がやらねばなかったのは、残念なことだ」と不満をもらした。
さらに「国連がやっているのは強い言葉で手紙を書くだけだ。だが、空っぽの言葉では、戦争は解決できない。戦争や紛争を解決できるのは行動だけだ」と批判。国連が戦争解決に貢献していないと主張した。
国際連盟から国際連合へ
そもそも国連(国際連合)とは、どんな国際機関なのかというと、国連の前に「国際連盟」という機関があった。
これは、第1次世界大戦後の1920年に史上初めて平和維持のために設立された国際機関。ただ経済制裁のみで、実効性に欠けたという。
そして、第2次世界大戦後の1945年にできたのが現在の国連(国際連合)。2度目の世界大戦を防げなかった反省から、国連安全保障理事会の決議のもとに、多国籍軍による武力行使などが可能になった。
実際に国連安保理の決議に基づき軍事行動が行われていた。1950年に北朝鮮が韓国に侵攻したことで勃発した朝鮮戦争と、イラクがクウェートに侵攻して始まった1991年の湾岸戦争などがある。
一方、2003年のイラク戦争の際には、安保理で武力行使を巡り各国が対立したため、国連決議なしにアメリカを中心とする有志連合が形成され、軍事攻撃が行われた。これを受け国連の存在意義が問われることになった。
国連の貢献はPKOでも
そんな国連の主な役割はPKO(国連平和維持活動)。紛争が発生していた地域で停戦監視や復興支援などを行う。
日本も参加したものとしては、1992年、内戦後のカンボジアを支援するためのPKO派遣。1996年、第4次中東戦争の停戦を監視するためシリアとイスラエルの間にあるゴラン高原にPKOを派遣。PKOは現在も11の地域で活動を行っている。
■国連が直面する資金難とは
トランプ大統領が国連への資金拠出を停止する一方で、今中国の存在感が高まっているという。トランプ政権は歳出の大幅縮小を打ち出している。
トランプ大統領は1月、WHO=世界保健機関からの脱退。2月は、UNHRC=国連人権理事会からの脱退や、UNRWA(アンルワ)=国連パレスチナ難民救済事業機関への資金拠出を停止する大統領令に署名した。
そして7月には、国務省がUNESCOからの脱退を表明した。さらに、2026会計年度予算案では、国連やその他の国際機関に対する、ほとんどの分担金やすべての拠出金を停止する方針。
影響力拡大を狙う中国
そんななか、国連で存在感を示しているのが中国だ。
国連の財源となる各国が負担する分担金の割合をみてみると一番多いのがアメリカで22%、次いで中国のおよそ20%、3番目が日本でおよそ7%となっている。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年9月25日放送分より)