アメリカのトランプ大統領は、エジプトにある紅海沿いのリゾート地・シャルムエルシェイクで開かれたガザの和平に関する国際会議に出席しました。2日前に発表されたばかりの和平サミットです。
「ついに中東に平和が訪れた。シンプルに“中東の平和”だ。何年もそう言われ、無理と言われたが、実現した」
イギリスやフランス、ドイツといった日本を除くG7各国の首脳、ヨルダンのアブドラ国王やトルコのエルドアン大統領といった中東各国のトップたち、そして、パレスチナ自治政府のアッバス議長。突貫で作られたと思しき『PEACE2025』のオブジェの前に20カ国を超える指導者が集結しました。
トランプ大統領は、仲介役を担った国々とともに、ガザの停戦合意に関する文書に署名しました。署名が終わると、各国の首脳らを後ろに並べ、改めてスピーチです。
「急な招集にもかかわらず、皆さんの尽力に感謝したい。瞬く間に集まった。最高の取引は、こうしてまとまる。史上最も偉大な取引になるだろう。新しく美しい朝だ。ガザの再建が始まるのだ」
2年にわたり、イスラエル軍が殺戮と破壊を尽くしたガザ地区。
トランプ大統領の自画自賛とは裏腹に、本当の平和が訪れるかどうかは未知数です。
今回、実行に移されたのは、20項目の和平計画のうち、人質解放や停戦といった第1段階。この先には、ハマスの武装解除やガザの戦後統治の問題、そして、イスラエル軍のさらなる撤退という第2段階が待っています。
「いまこそ偉大で輝かしい、永続的な平和に向け、20項目の和平計画を実行するときだ。それが明るい未来の基盤となる。いま、この瞬間も計画は進行中だ」
「和平計画は進行中」としながらも、第2段階の詳細には、ほとんど触れませんでした。
仲介役のエジプト。
「(Q. ハマスから武装解除の確約は)その形式や手順など、議論を始める必要があります。すべては第1段階を実施後に行われる。今後の交渉に委ねられます」
戦争が始まって以降、ネタニヤフ首相には掲げてきた目標があります。
「この戦争には3つの目標があります。ハマス殲滅、すべての人質の奪還、そして、今後、ガザがイスラエルにとって脅威とならないことです」
生存する人質は帰ってきたものの、ハマスの完全排除には至っていません。
極右の閣僚に支えられるネタニヤフ政権は、ガザ地区の完全支配を検討したことさえあります。
「ネタニヤフ首相が、ガザの支配をあきらめたとは思わない。政権内でも、パレスチナ人をガザから排除する考えを捨てていない人は多い。つまり、民族浄化です。イスラエルのガザ攻撃再開を誘発する出来事が起きるのか。すぐにわかるでしょう」
中東のメディアによりますと、イスラエル軍の無人機から発砲を受け、パレスチナ人6人が死亡しました。イスラエル軍は、停戦ラインを超えて近づいてきたためと主張しています。
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