開館直後、わずか7分間の犯行でした。世界中の観光客が訪れるパリのルーブル美術館で19日、フランス王室の宝飾品コレクションが盗まれました。
奪われたのは“王室の宝飾品”
そのニュースは世界を震撼させました。1日で最大3万人が訪れる世界屈指の美術館。この日も、いつものように午前9時に開場したその直後、全ての観光客が外に出るよう促されます。
「誰かが窓をドンドンたたくような音がして、美術館職員らが音のする方へ向かうのが見えました」
事件が起きたのは午前9時34分、犯行時間はわずか7分。セーヌ川沿いに止めたクレーン車を使って建物内に侵入した犯人グループは、レオナルド・ダ・ビンチのモナリザが展示されている部屋のすぐ近くにある『アポロンのギャラリー』から9つの装飾品を盗み出しました。
マリー・アメリー王妃が身に着けていたサファイヤのネックレスとイヤリング。マリー・ルイーズ皇后が持っていたエメラルドのネックレスとイヤリング。ダイヤモンドと金で作られたブローチ。そして、ナポレオン3世の妻、ウジェニー皇后が手にする多数のダイヤモンドがほどこされた王冠と、ティアラ、ブローチです。
犯行グループは顔を隠した4人組。窓や展示ケースを割った際、相次いで警報が鳴り、警備員が駆け付けましたが、電動カッターで脅して逃走しました。
美術館の窃盗多発 警備不備の指摘も
「警備の担当者らは数カ月前から慢性的な欠陥を指摘していた。この1年(各地の)美術館で窃盗が多発していたにもかかわらず、セキュリティー体制が緩みがちだった」
ルモンド紙によると、アポロンのギャラリーの警備は通常6人ですが、犯行があった時間帯は4人しかいなかったといいます。
現場周辺からは、ガラスを割る際に使ったとみられる電動カッターや手袋、トランシーバーなどのほか、作業員に変装するための黄色いベストが見つかっています。
フランス政府は今年1月から、美術品などを狙った組織的犯罪グループの対策を強化し、パリ地検が捜査の指揮をとっていますが、犯行は続いています。
「収集家の依頼による犯行なら、その人物を割り出せれば窃盗品は良好な状態で見つかるはず」
かつて盗まれたモナリザは無事に帰ってきました。
今回の犯行グループは逃走時、犯行に使用したクレーン車に火をつけようとしましたが、警備員が阻止しています。けが人はいませんでした。
ルーブル美術館は20日も急きょ閉館を決めました。
「40分から50分くらい並んでクローズですと。とても残念です」
「パリには4日間しかいないので、再予約できることを祈ります」
(Q.何が見たかった)
「モナリザ」
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