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2025年10月29日 09:58

在日東ティモール大使館関係者は?26年ぶりASEAN新規加盟 インフラ・軍事で中国接近

在日東ティモール大使館関係者は?26年ぶりASEAN新規加盟 インフラ・軍事で中国接近
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 26日、ASEAN=東南アジア諸国連合が26年ぶりの新規加盟国として東ティモールを正式承認した。南太平洋地域の要衝としても注目される国の大使館を番組は取材した。

「ゼロ・エネミー」政策

 27日に番組が訪れたのは、東京・千代田区にある東ティモール大使館。この東南アジアの小さな国が今、世界から注目されている。

 26日、ASEANが東ティモールを加盟国として正式に承認したのだ。ASEANへの新規加盟は26年ぶりで、これで東南アジアのすべての国が加盟したことになる。

シャナナ・グスマン首相と高市早苗総理大臣
シャナナ・グスマン首相と高市早苗総理大臣

 式典後に行われた日本とASEAN首脳との会議では、シャナナ・グスマン首相と高市早苗総理大臣があいさつする場面も見られた。

グスマン首相
「彼女は状況をよく理解しており、ASEANと日本の関係を強化し続けるために歩み寄っていた」
人口約140万人の東ティモール
人口約140万人の東ティモール

 東ティモールは2002年にインドネシアから独立。岩手県とほぼ同じ大きさの国土は、ほとんどが熱帯の山岳地帯でおよそ140万人が住んでいる。

首都ディリにそびえ立つ高さ27mのキリスト像
首都ディリにそびえ立つ高さ27mのキリスト像

 美しい海岸線に恵まれた首都ディリには、高さ27メートルのキリスト像がそびえ立つ。東ティモールの外交姿勢にはある特徴がある。

セリオ・モニズ・ダ・シルバ参事官
「東ティモールは世界でも新しく、かつ小さな国です。私たちの政策は『ゼロ・エネミー(敵を持たない)』であり、誰に対しても友好的です。中国からの支援も受け入れますし、支援をしてくれる国はどこであれ受け入れます」
ASEAN加盟の意義は?
ASEAN加盟の意義は?

 そして、ASEAN加盟の意義についてはこう語った。

「正式に加盟することで、東ティモールは地域の将来を左右する重要な決定に参加することができるようになります。経済面でも、これから石油・ガス依存からの脱却を進め、雇用を生み出し、近代化を進めることができるでしょう」
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インフラ・軍事で中国接近

東ティモールと中国
東ティモール×中国

 14年越しでASEANに加盟した東ティモールだが、中国との結びつきも強くなっているという。その背景を見ていく。

 ロイター通信によると、2023年9月、東ティモールは中国と「包括的戦略パートナーシップ協定」を結び、中国がインフラなどの投資を積極的に行うことで合意した。

 中国は東ティモールの大統領府や外務省、国防省などの建設を無償で行ったほか、全国の電力供給網の建設を請け負うなどしてきたという。

グレーター・サンライズ・ガス田
グレーター・サンライズ・ガス田

 さらに、資源開発にも影響力を強めつつある。東ティモール政府の予算書によると、国家予算の8割以上を石油の採掘に依存しているという。しかし、去年石油の生産が終了していて、その石油収入の積み立てが2035年になくなると予測されている。

 ロイター通信よると、新たな天然資源開発先として注目されているのが、オーストラリアとの間の海域にあるグレーター・サンライズ・ガス田だ。年間でおよそ10兆円の収益が見込まれると試算されている。

 しかし、採掘したガスをパイプラインでどちらの国に送るかで折り合いがつかず、ガス田の開発は停止したままだそうだ。

 こうしたなか、去年10月、東ティモールは中国と協力し、パイプラインを建設する可能性を示唆した。

中国が軍事面でも接近か
中国が軍事面でも接近か

 中国の影響力が太平洋地域で拡大することにオーストラリアでは懸念が広がっているという。

 さらに、軍事面においても中国は接近しているようだ。

 東ティモールのメディアによると、去年5月、中国人民解放軍の艦艇が東ティモールの港に寄港した。両国の軍事協力強化が目的だと伝えている。

 また、オーストラリアABCニュースによると、東ティモール軍はこれまでオーストラリア軍と軍事演習を行ってきたというが、中国と軍事演習を行う可能性に言及しているという。

早稲田大学・山田満教授の話
早稲田大学・山田満教授の話

 こうした中国との接近について、東南アジア政治が専門の早稲田大学の山田満教授に聞いた。

「アジア最貧国の東ティモールとしては、どうしても中国による支援や投資に頼らざるを得ない面がある。ただ、東ティモールは『法の支配』を重んじる国で、一方的に領有権を主張するなど国際法を重んじない中国を完全には信用していないだろう。債務の罠に陥らないよう、中国と適切な距離を保つことが重要」

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年10月28日放送分より)

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