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ABEMA NEWS

2025年10月29日 17:30

元アメリカ高官「日本はベストな交渉力。円安は問題視されていない。一番の課題は関税だ」高市総理がトランプ氏にハマる極意とは

元アメリカ高官「日本はベストな交渉力。円安は問題視されていない。一番の課題は関税だ」高市総理がトランプ氏にハマる極意とは
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 高市早苗総理が初めての外国訪問を終え、トランプ大統領との日米首脳会談に挑んだ。        

【映像】安倍元総理とトランプ氏が“満面の笑み”でセルフィーした写真

 関税合意の進捗を伝えた上で、合意内容の着実な実施を確認する共同文書や、レアアースなど主要鉱物に関する覚書などの署名式を行った。

 トランプ氏にとっては6年ぶりの来日となり、前回2019年には当時の安倍晋三総理がゴルフや炉端焼きで歓待し、「シンゾー」「ドナルド」と呼び合う仲だった。安倍路線の“後継者”とも言われる高市総理は、今後どのようにトランプ氏との信頼関係を構築すればいいのか。『ABEMA Prime』では、有識者に“攻略法”を聞いた。

■高市総理がトランプ氏にハマる極意

トランプ氏にハマる極意

 第1次トランプ政権時代にアメリカ通商代表部(USTR)で交渉官を務めたデビッド・ボーリング氏は、「ポイントは『日本はアメリカにとって負債ではなく資産だ』と理解してもらうことだ。トランプ氏はビジネスマンで『資産か、負債か』で考える。そのためには『もっと防衛に予算を割く』といった発言が求められるかもしれない。『アメリカのビジネスへの投資も積極的に行う』と示すことが重要だ」と語る。

 また、「高市氏と安倍氏の関係をしっかり理解してもらうことも必要だ」とする。「安倍氏とは非常に近い関係にあり、共通点もあった。とくに移民政策などでは保守的な考えを持っている。それに加えて、トランプ氏をできるだけ立てて、気分を良くする必要がある」。

 安倍氏と高市氏の違いについては、「安倍政権の当時は、衆参ともに与党が過半数を占めていて、非常に政治的な強さを持っていた。しかし高市政権にはそれがない。自民党と維新で過半数に近づいているが、少数与党だ。こうした政治的基礎力には欠けているが、高市氏が持っている強みもあるため、さほど日米関係にマイナスにはならないだろう」と見ている。

■日本の交渉の強みは?

デビッド・ボーリング氏

 日本の交渉の強みは、どこにあるのか。「日本は世界でもベストな交渉能力を持っている。首尾一貫して整合性があり、方向性がはっきりしていて、きちんと効果をもたらす。その信頼感は、トランプ氏にもある。日本にとって一番のメリットは、トランプ氏が問題を解決したい現実主義者・実践主義者であること。ヨーロッパやカナダと比べても、日本は相性がいい」。

 石破政権での交渉を振り返り、「関税交渉では日本が有利な方向に持っていくことができた。インドはできていない。日本は焦点を絞り、『アメリカから何を買うべきか』『何を投資すべきか』をパッケージとして示した。赤沢亮正経済産業大臣(当時は経済再生担当大臣)のリーダーシップもあったが、日本が実践主義を示した成功例だ」と評価した。

■「円安を問題視していない。一番の優先課題は関税だ」

日米間の課題

 高市氏の政策により、円安に振れるのではとの懸念もあるが、「トランプ氏は円安を問題視していない。かつては問題だと言っていたが、いま一番の優先課題は関税だ。日本との関係においては、円安にフォーカスしていないのが実情だろう」と推測する。

 また、トランプ氏が重視する関税については、「日本だけでなく他国にとっても、カードはトランプ氏の手の中にある。日本はその手札から、いいカードを引けている。これまで日本政府が、しっかりトランプ政権と向き合ってきた成果であり、実践主義的なアプローチがうまく行っている証拠だ。総理が誰であれ、ホワイトハウスと良い関係を維持することは、日米関係にプラスになるだろう」とした。

 ボーリング氏によると、「日本は重要な通商パートナーだ。トランプ大統領は、日本を標的にしたわけではない」としつつ、「トランプ氏は関税をかける戦略を好む。他国にも関税面で要求していて、インドやブラジル、ヨーロッパの多くの国も同様だ。日本に嫌がらせしたいのではない」と考察する。「トランプ氏は、相撲も日本文化も好きだ。日本を嫌ってはいない」。

(『ABEMA Prime』より)

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