国際

ワイド!スクランブル

2025年10月31日 18:00

対面で6年ぶり米中首脳会談 緊張緩和への道筋は? レアアース・追加関税で歩み寄り

対面で6年ぶり米中首脳会談 緊張緩和への道筋は? レアアース・追加関税で歩み寄り
広告
2

30日にアメリカ・トランプ大統領と中国・習近平国家主席との米中首脳会談が行われた。会談後、成果を強調したトランプ大統領だが、緊張関係はどこまで解消されるのか。

トランプ大統領「素晴らしい」「10点満点中12点」 成果は?

 まずは首脳会談について見ていく。会談直前に衝撃が走った。それが、トランプ大統領のSNSへの投稿だ。

SNS投稿
「米国はどの国よりも核兵器を保有している(中略)。他国の実験計画を踏まえ、我が国も同等の水準で核実験を開始するよう戦争省(国防総省)に指示した」

 また同じ投稿で、中国とロシアの核保有数にも言及したうえで、中国は「5年以内に対等になる」との考えを示した。つまり、首脳会談前に投稿することで、核開発を進める中国側を牽制(けんせい)したものとみられる。

 アメリカによる核爆発を伴う核実験は、1992年9月、西部ネバダ州で実施したのが最後だ。実際に核実験が行われれば33年ぶりとなる。アメリカは1996年、核爆発を伴うすべての核実験を禁じる「包括的核実験禁止条約」に署名している。

6年ぶりの直接会談
6年ぶりの直接会談

 緊張感のなか開かれたトランプ大統領と習近平国家主席との米中首脳会談だが、2019年以来、6年ぶりとなる直接会談で約1時間40分にわたって行われた。そして会談後、トランプ大統領は「素晴らしい会談だった」と述べ「10点満点中12点だ」と成果を強調した。

 では具体的に、どんな成果があったのか。

 トランプ大統領は、中国がレアアースの輸出規制を見直さなければ、100%の追加関税を発動すると表明していたが、双方が1年間延期することで合意した。

 また、アメリカが合成麻薬「フェンタニル」の流入を理由に中国に課していた追加関税は、取り締まりを条件に20%から10%に引き下げられることになった。さらに中国は、アメリカ産大豆の購入を直ちに再開することになった。

 ひとまず緊張緩和はされたものの、対立点の解消は先送りされた形だ。残された課題については、来年、中国で開かれる米中首脳会談で協議するという。

台湾問題は議題に…?
台湾問題は議題に…?

 もう一つ、焦点となっていたのが台湾問題だ。ウォールストリート・ジャーナルは先月28日、「習近平主席は通商合意成立に向けて、トランプ大統領に台湾独立に『反対する』と正式に表明するよう求める計画がある」と報じていた。

 また今回の会談直前にあたる29日、中国の国務院台湾事務弁公室は会見で「(台湾に対する)武力行使の放棄を決して約束せず」と発言。台湾進攻の可能性に言及した。

 そして、この話題を巡りトランプ大統領の発言が微妙に変わっていった。24日は首脳会談で「台湾について話す予定だ」としていた。29日には「話すかどうか分からない」と発言。30日の首脳会談後「一切、話題にならなかった」と述べた。

広告

半導体の輸出規制「中国側の判断次第」

 事前にアメリカ側が譲歩との情報もある、半導体輸出規制について見ていく。

半導体の輸出規制を巡っては…?
半導体の輸出規制を巡っては…?

 アメリカの交渉カードの一つだった半導体。アメリカではAI分野での優位性を維持するため、2022年にバイデン政権が半導体の中国への輸出規制を強化した。これはアメリカがトランプ政権になった現在も継続している。

 ロイター通信によると、この輸出規制について、今年9月に中国商務省は「『保護主義的』な慣行は、中国に対する差別的な扱いの疑いがある。先進半導体やAIなどにおける中国の発展を抑制・抑圧する狙いがある」などと指摘し批判した。

首脳会談 トランプ政権が譲歩?
首脳会談 トランプ政権が譲歩?

 こうした状況のなか注目の発言があった。ロイター通信によると、米中首脳会談前日の29日、トランプ大統領は「ブラックウェルについても協議する可能性がある」とコメントした。この「ブラックウェル」とは、アメリカの半導体大手「エヌビディア」が製造するAI向けの最先端半導体だ。

 ロイター通信は、エヌビディアは中国への輸出ができるようブラックウェルのダウングレード版(品質を下げたもの)を開発したと報じていて、それが交渉のカードになるとの見方もあった。

 またエヌビディアのファンCEOも「中国は非常に重要な市場であるため(輸出規制について)将来的に変わることを願っている」とコメントしていた。

 では、首脳会談ではどのような話になったのか?

米中首脳会談後では…
米中首脳会談後では…

 ブルームバーグによると、米中首脳会談後にトランプ大統領は、「エヌビディアの中国市場へのアクセス全般を習氏と話し合った。 エヌビディアとの協議継続は中国側の判断次第だ」とコメントした。

 ただ、ロイター通信によれば、注目のブラックウェルについては「半導体について議論したが、ブラックウェルについては話していない」と述べたという。

高市氏×習氏 首脳会談へ

高市総理 初の日中首脳会談へ
高市総理 初の日中首脳会談へ

 そして、31日午後には日中首脳会談が行われるとみられている。日中間を巡っては現在、主に次のような懸案事項がある。「安全保障上の懸念」「中国による経済的威圧」「歴史認識や台湾を巡る姿勢」だ。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年10月31日放送分より)

広告